何気ない日常を子守唄の如く静かにゆっくりととらえ、人物の体の動かし方で言葉にせずともキャラクターを伝えるという誠に映画的な序盤。
アスペクト比4:3の正方形に近いスクリーンで、低位置カメラは、空や風景を雄大に映し出すこともなく、2人の親密さをより掻き立てる。
歴史に名を残すような偉人でなくとも、社会の底辺で生きるしがないミルク泥棒たちにも資本主義、権力や人種構造が取り巻いているという、当たり前のこと(日常=政治)をさり気なく描く、まさしくケリー・ライカート印!
なお、森の中の小屋とか路上でのドーナツ売りとか「雨月物語」感ににんまり。