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ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONEのhikarouchのレビュー・感想・評価

2.8
ゴースト・プロトコル以降のシリーズ大好き人間の視点からすると、「脚本どうしちゃったの」というのが率直な感想。

2時間43分という長尺映画にあって、その半分は説明していたんじゃないかというくらいに、何度も何度も話を止めては説明説明が続くのに、なおも話がめちゃくちゃに分かりにくい。これは、やろうとしていることが複雑だとかいうんじゃなくて、シンプルにストーリーテリングが下手くそ、またシリーズ過去作ではできていたビジュアルを駆使した説明を全然出来ていないことが問題だったと思う。

また本シリーズにおいて毎回最初の見せ場であるタイトルシークエンスも、前段に説明用の潜水艦のくだりが入っているためになかなか出てこない。非常に鈍重な印象だし、いざタイトルになっても、全然キマってない。アガらない。

2時間43分、マジで4時間くらいに感じた。。。

そもそも、登場人物たち自身が追いかけてるマクガフィンの正体を分かっていないっていう設定は必要なのか。「重要性がよく分からないから、とりあえず追いかけてそれが何なのかを突き止めよう」とかいうフワフワしたミッションのために命を懸けてるこの人たちの心情が理解できない。観客はその鍵がAIの制御に使えることを知ってるのに、観客とキャラクターとの間の認識のギャップをわざわざ作り出しているのはシンプルに無駄だと思う。

そしてそのフワフワした動機で進む物語も、ご都合主義展開が目につく。(こまかいツッコミはコメント欄で。)

MIシリーズの醍醐味は「じゃじゃーん、実はこうなってました!ザマアミロ!!」という展開と思ってるんだけど、今回はそれも一切なし。イーサンたちは終始やられっぱなしだし、なんとか生き延びているのは必死の頑張りと運によるもののみというのも、MIってそういう話だったっけと。

まあ、過去作でも(ここまでではないにしても)アクションのためのご都合展開はあったのだけど、それでも許せたのはそのアクション自体に絶対的な魅力があったから。だが、今回はその点でも非常に物足りなかった。

潜水艦にしても、ローマ市街でのカーチェイスにしても、列車の上での格闘にしても、もう過去作含めワイスピなど他の映画でも何百回と見たことのあるアクションシークエンスばかり。「え、この期に及んでまだそれやるの?脚本の合理性を犠牲にしてまで?」と思ってしまった。
もちろん一つ一つのクオリティは高いし、カーチェイスには手錠を絡めたり、破壊された線路から車両が1つずつ落ちていくとか、新しいアイデアが入っていてそこは良かったんだけど、このシリーズに期待されているのはその程度じゃないよなあという気もしてしまう。もうアクションの単純な過激さ、トムの体張りにこちらが慣れてしまって、ありがたみを忘れてしまっているのかも。

イーサンとベンジーのイチャイチャが全然無かったのもとても不満。というか今作ではベンジーの魅力が全く出てなかったな。

そんなこちらの不満も、前後編の前編だから何事も回収されてないだけで、後編を見たら「失礼なこと言ってすみませんでした!!」と土下座したくなるような展開を期待したいけど、どうなるかねえ。。
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