mamiKO

朝が来るのmamiKOのネタバレレビュー・内容・結末

朝が来る(2020年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

彼氏ないわぁ。あれはないわ。
よく親黙ってたな。私なら相手の家行くけどな。あの親は行かないか。

「なかったことにしないで」

ドキュメンタリータッチなところがあったりで、余計現実感が出ていた。
望まない妊娠。望まれない妊娠。
今朝も、コインロッカーから、生後まもなく死亡した赤ちゃんの遺体が出てきたとニュースでやっていた。
ここに出てくる人達は、出産した子どもを、子どもが授からない夫婦に、養子として受け渡す。その仲介をする人に浅田美代子。このキャスティングがなんか凄くしっくりきた。
好きな人との子ども。一緒に夕日を見てお散歩して十月十日。育てられないと分かっていても、受け渡して、これで良かったんだと、割り切るのは難しいでしょう。若ければ若いほど。
「なかったことにしないで」

井浦新と永作博美の夫婦が良かった。
お互いを思いやっているのが伝わってくる。永作博美の、真っ直ぐに子どもを信じる姿は、どのように子育てに向き合ってきたかを感じさせるし、井浦新の、養子だとして、何も恥ずかしくない、というセリフも良かった。
広島のお母ちゃん。
産んだ彼女の実家の、絶妙な嫌な感じ。
娘のことよりも、世間体を気にしてるのを娘にも隠せていない、あの感じ。
彼女にも幸せになって欲しい。
ここから、どうなったのかな。
朝が来る。
希望の朝も、絶望の朝も。
どんなに逃げても朝が来る。
光りまくって、色んな音をたてて、容赦なく、当たり前の様に、朝が来る。
生きている限り。
若い頃、最終的には「死」という選択肢があると思っていた。いつも、ギリギリの所でも「生」を選んできたから、人生が続いている、と。
今思うと、何をそんなにピリピリしていたのかと思うけど、あれはあれで、不思議と、私が生きていくことを楽にした。
大人になって、やっとわかった親の想いや、何よりも子どもの存在で、私の中で「死」という選択肢はなくなり、代わりに「休」という選択肢が出来た。
やり切れないことや、どうしようも無いこと、理不尽なこと、解決しないまま朝が来て、でもメチャクチャをしない様に、辛かったら休む。心から休む。周りに頼る。
休むは逃げるではない。
「鳴き止むも旋律のうち蝉時雨」
大好きな俳句です。
話ずれましたが。

難しい題材の作品でしたね。なので、レビューも難しいです。
どんなに若くても、また、どんな状況でも、条件が揃えば妊娠する。奇跡ですよ、本当。
その毎日どこかで起きている奇跡が、幸せな奇跡になります様に。
またその奇跡の未来が、争いや憎しみや、(またはある人の逆らえない命令によって)簡単に消されることのない、平和な世界になります様に。
mamiKO

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