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はちどりの1234のレビュー・感想・評価

はちどり(2018年製作の映画)
5.0
東宝のレイトショーでいま観てきました。

はじめのシーンから最後まで、ずーっと心がチリチリと音を立てていました。

ハチドリに代表される「ハミングバード」という最も小さい鳥は、太古のむかしは巨鳥だったという話もあります。

映画を観て、思い出されるロレンスの詩があります。


『はちどり』

〝遠いかなた
原始の静かなどこかほかの世界
あえぎ、口ごもるだけの
あの恐ろしい静寂のなかで

森の道を
はちどりの群れが疾走したのを
ぼくは想像できる

あらゆるものが魂をもつ前
生命がなかば生気のない
物質の昂まりであった時

この小さなものは
光の中で欠けて落ちて離れ
ゆるい巨大な汁の多い茎のあいだを
風を切って飛んだ

ぼくは思う
そのとき世界に花はなかった
万物創造にさきがけて
はちどりがひらめいていた

はちどりは
やわらかな植物の葉脈を
長いくちばしで突き刺した

きっと、はちどりは大きかったのだろう
コケやトカゲも
かつては巨大であったように

はちどりは
突き刺す恐るべき怪物だったろう

ぼくらは幸運なことに
いまは、はちどりを
「時」という長い望遠鏡の
逆の端から眺めている〟

D.H.ロレンス
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