1234

アメイジング・グレイス アレサ・フランクリンの1234のレビュー・感想・評価

5.0
アレサフランクリンの教会⛪️での、ミニコンサートの記録フィルムです。

地元の合唱隊を引き連れて、小さな教会で2晩だけ歌いました。

いちおう礼拝なので、おじいちゃんおばあちゃんがいるのですが、よく見るとミックジャガーがそこに混ざってます笑

父親をはじめ、どうしようもない男どもに翻弄され続けたアレサが、レコード会社に掛け合ってアレサ自身のプロデュースで、教会で神さまに向けて歌う目的で、こんなコンサートが実現しました。

凄かった。まさに女王です。

誰がどんな思いで書いたとか、誰がどんな気持ちで歌うとか、この歌は誰がいちばん歌うのが上手いか…そんなこと大したことじゃない。
歌は、誰に向かって歌うのか、これこそが人が歌を歌う本質なんだと、気づかされます。

『オリジナル』とは、真の意味で『見せかけのパフォーマンスではない』という意味なんだと思います。

途中で牧師の父親が出てきて、明らかにアレサの顔が機械的にこわばってゆくのが分かります。

その父親が、うやうやしく彼女の汗をハンカチで拭く。彼女はただ無表情で歌いながらそれをやり過ごしていました。

神さまだけが、ほんとに彼女の救いだったんだな、と。
父親への反動が無ければ、こんな素晴らしい歌声も聴けなかったと思うと、人生ってほんとになんなのだろう、と思う。


こんな詩を思い出しました。



4 谷川和子に

きみが怒るのも無理ないさ
ぼくはいちばん醜いぼくを愛せと言ってる
しかもしらふで

にっちもさっちもいかないんだよ
ぼくにはきっとエディプスみたいな
カタルシスが必要なんだ
そのあとうまく生き残れさえすればね
めくらにもならずに

合唱隊は何て歌ってくれるだろうか
きっと『エディプスコンプレックスだ』なんて
声をそろえてわめくんだろうな

それも一理あるさ
解釈ってのはいつも一手おくれてるけど
ぼくがほんとに欲しいのは実は
不合理きわまる神託のほうなんだ


谷川俊太郎
『夜中に台所でぼくはきみに話しかけたかった』より
1234

1234