マルケス

赤い闇 スターリンの冷たい大地でのマルケスのレビュー・感想・評価

3.5
ざっくり言うと、イギリスのジャーナリストがウクライナに潜入取材し、ホロドモール(人工飢饉)を世界に報道する実話ベースの物語。

ホロドモールを知ったのはWW2の独ソ戦を調べていた時。ドイツによる長期の包囲戦でレニングラード市民は人肉食をするほどの飢餓に陥った。「ソ連 飢餓」といったワードで検索していた時、“ホロドモール”という聞き慣れない言葉を目にしたのだった。
ウクライナは黒海に接した豊かな穀倉地帯。餓えるはずのない土地で非情な政策によって起きた人工飢饉。当時を伝える文章や画像の凄惨さといったら…。

傑作になり損ねた惜しい作品だと思う。あれもこれもと詰め込み過ぎで迷走気味。作家ジョージ・オーウェルと『動物農場』の引用も、意図は解るが取って付けた感がある。そのオーウェルに「説明が必要なら失敗作だ」と言わせたのは自虐ネタなのか?と思ってしまったけど。

ホロドモールを題材にした作品は貴重だし、ウクライナとロシアの関係も含めて入口としては意味のある作品だと思う。
マルケス

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