ヒカル

ギレルモ・デル・トロのピノッキオのヒカルのレビュー・感想・評価

3.5
エブエブが7部門受賞した昨年のアカデミー賞で長編アニメーション部門を受賞したネトフリ作品。監督はギレルモ・デル・トロでシェイプ・オブ・ウォーターと本作で唯一の作品賞と長編アニメーション賞を受賞した監督になった事が少し話題になったかと記憶してます。失礼な事を言えば、どちらも不作&良作は小品の年で運良く受賞した感は有りますが、本作をネトフリを退会する日に最後の作品として視聴しました。


ネトフリはオッピーのアカデミー賞授賞式の少し前に観始めて1ヶ月でレビューを書いた作品だけで映画17 ドラマシリーズ3 アニメシリーズ1を観て大変疲れました。観ないと損と思う貧乏性の自分にはネトフリ、アマプラ、Spotify、パズドラ、YouTube、XBOX、競馬予想、映画劇場鑑賞の全てをこなすのは不可能で、この一ヶ月はアマプラとXBOXがほぼ無稼働となりました。このままでは病気になりそうなので、一旦退会して三体のシーズン2が始まったら再入会予定です。 ※ある程度の規模での劇場公開作のテレビ視聴は劇場視聴された方との比較上ベスト視聴環境ではないので、レビューを書いてないのですが、その他にもたぶん3作(聲の形☆3.5 ヴァイオレットエヴァーガーデン☆3.5 攻殻機動隊 新劇場版☆2.5)を観ましたので全部で24作品は観ました。


前置き長すぎですが、本作の感想は普通でした。予算をかけすぎて制作が頓挫したところをネトフリに助けて貰ったので無難に置きにいったのかな、と想像します。もっと大人向けに振り切ってエグい話に出来そうな雰囲気がありながらキッズも楽しめる様に調整された絵と内容のバランスがおかしい作品です。クレイアニメに少し似てますが、贅沢で精緻にCGアニメ化された絵は類似のものが存在せず、キャラの見た目の悪さとFPS低すぎのカクカク具合を我慢して最後まで観る価値はあると思います。(2024/4/6追記 皆さんのレビュー観て今日初めて知ったのですが、本当のストップモーションアニメだったのですね、ストップモーションアニメ風のCGだと思ってました。FPS低すぎだの言ってすみません。デル・トロさんめちゃ頑張らはったのですね、ただ、CGで出来そうですが...)


以下ネタバレでだいたい悪口です。














・お父さんがおじいさんにしか見えない。カミキリムシ?がキモい。サルがグレムリン。人形劇の団長の見た目が不快。などなどキャラデザが悪すぎました。見た目を悪くした方が賞レースでは有利ですが、もう少し良くした方が感情移入はしやすいかと思いました。PCと多様性とはブサイクが活躍すれば達成されるのでしょうか?スパイダーバース2もグウェンを1よりも折角少しブサイクにしたのに、アオサギをもっとブサイクにしたパヤオさんに負けましたね。スパイダーバース3ではブサイクが足らんかったと反省してグウェンを更にブサイクにしそうで心配です。(本作はどちらかと言えば、子供向けの内容なので、もっと子供が喜びそうなキャラデザに、すべきだったかと思います。勿論、賞は取れなくなったでしょうが。)


・演技としてのキャラクター描写は最近のアニメ作品では、スパイダーバース2、TMNT、デデデデが秀逸だったと思いますが、本作ではところどころ納得いきませんでした。サルがピノッキオに脱走する様に唆しているのを盗み聞きしている団長は複雑な表情だったので、実はこの人は良い人?と思ったら次のシーンではガチの折檻でびっくりしました。また、お父さんとピノッキオの交流が弱いうちに離ればなれになったので戦場などで酷い目にあってからお父さんとのセカンドパートがあるのだろうと思ってたら特に無いままにピノッキオへの絶対の信頼と愛をお父さんは知らぬ間に育んでおり、そやったっけ?見逃したのかな?とクエスチョン状態でした。



・お話しが無難だなと思ったのは、何箇所か先を想像してやばいものが観れるかもと期待したのが全てハズレたからです。悪い意味で何度も裏切られました。1  死者の国で生き返るのに時間が伸びていく砂時計は良いアイデアでしたが、戦場で何十回も殺されながら鬼神の活躍をするピノッキオを期待しつつ時間が伸びていくのはどう使うのだろうと期待してましたが、鬼神ピノッキオは見られずじまいで、時間が伸びるギミックもあんなしょうもないシチュエーションで消費されるとは、ションボリでした。 2 子供達に戦争シミュレーションをさせるところもまさか実弾のデスゲーム?とビビリつつ期待しましたが、ゴム弾ですらなくペイント弾で、はよ終われと思いました。 3  お父さんがキリスト像の補修をしていて、ピノッキオがキリストの様に磔刑状態となったのでピノッキオが燃えた後に何かキリスト的な奇跡や神の怒りイベントがあるのかと期待しましたが、サルが頑張っただけでした。また、キャラクター描写の話に戻りますが、その少し前にお父さんを爆殺された子供さんはピノッキオの心配だけしていて異様でした。


良かったのは毎回謎に力の入ってた人形劇やサルの操り人形のシーンでしょうか。ギレルモ・デル・トロさんは実はそこが撮りたかっただけじゃないか、と思ってます。操り人形のモーションは複雑かつ秀逸でしたので、技術点を加算してオマケでで3.5点にしときます。(パシフィック・リムは好きで、デル・トロさんには恨みは無いです。)
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