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サリュート7のmのレビュー・感想・評価

サリュート7(2017年製作の映画)
4.0
1985年に実際に起こった出来事の映画化。

無人で機能していた宇宙ステーション「サリュート7」は、太陽光パネルが動かなくなったことが原因で機能不全に陥っていた。このままではいつか地球に落下してしまう。最悪大陸に落ちたら広島型原爆並みの惨事になりかねない。そこでベテラン・パイロットとサリュート7を設計した技師の2人をソユーズT-13で向かわせ、サリュート7と手動ドッキングを試みることにする。極めて難易度の高いドッキング作業となるが、二人は無事に成功。しかしサリュート7の内部は凍り付き、完全に機能していなかった。早速復旧作業に入る二人だが、事は簡単には進まず、トラブルに次ぐトラブルと対峙する。


ロシア製のSFなので、ハリウッド映画とは違う味を期待したが、見た目はハリウッド映画そのものだった。かつての『惑星ソラリス(1972)』や『不思議惑星キン・ザ・ザ(1986)』のような、ソ連時代の独特な味わいはまるでない。ソ連が崩壊して早25年、グローバル化の名のもとに世界はすっかり均質化してしまった模様。見始めてしばらくは「これ、ハリウッドが作ったソ連ものなのかしら、いやいやいくらなんでもそれはないだろう・・・それにしてもアメリカ映画みたいだなあ」と思ったほど。

冷戦当時のソ連とアメリカの競争心や疑心暗鬼を背景に、全編ハラハラドキドキの展開で目が離せないし、パイロットには妻と幼い娘がいて、技師の方は身重の妻を地上に残して宇宙へ旅立つという、またとない家族愛ドラマもてんこ盛り。映像もアングルもカット割りも脚本も、すっかり見慣れたよくある演出で誰が見ても楽しめる安心の出来。これがハリウッド映画でないなんて、信じられない。

とまあ嫌味を連発してしまったが、映画は大変面白かった。面白かったし感動もしたけど、やっぱりロシアならロシアらしい独自性も欲しかった。ので★は一個マイナスの4つ。
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