不良少女役高峰秀子の更生を描いた戦中の教育映画。脚本の黒川慎は若き日の黒澤明、助監督、市川昆。1943年93分。

戦中の街並みの看板に「戦い抜こう大東亜戦争」とか本屋の「我が闘争」の大看板が映った。世相が今と全然異なる。

修身を子供達が唱える場面を見て、父が戦後まもない頃、学校で教科書を黒塗りさせられた話を思い出した。皇国史観に基づく修身はGHQにより廃止になったから。

物語は超素朴。高峰秀子はつぶらな瞳で不良少女に見えない😅

信州の自然や戦中の日常の風景が貴重😊

当時のモノクロフィルムの画像ノイズも新鮮

日本映画専門チャンネル　蔵出し名画座　録画

高峰秀子が若い。少女のあどけなさと母性愛を感じさる演技が素晴らしいと思います。

• #高峰秀子

『愛の世界　山猫とみの話』(4.1p)及び『虎造の荒神山』(4.1p)『幡随院長兵衛』(3.0p)　

　青柳も伏水等と並び、初期東宝からの有望新人というに限らない、純粋にルーチンを突き抜けて映画を探求した偉大な先人だと思う。あまり観てないが、戦後の『愛の砂丘』『モンテンルパ~』らは傑作だったし、落ち着いてからの『~小平次』や『サザエさん』シリーズの中にも、見るべきものはあった。
　『愛の世界』は、前半の更生の為の少女たちの施設の様々な軋轢の緊張感と、後半の脱走して逃げ込んだ家での、幼い子供だけへの面倒見の優しさ、のヒロインのキャラに段差がある気がするが、それ以上に、造り物の感じのない、同じ続きの流れでも、自然ロケ、セット、(円谷の)特撮(山頂での山·雲·陽の完璧な造型、豪雨に耐える山の小屋)、が清新で正確な一つとの世界して繋がってる。勿論、ここはロケ、ここはセット、特撮、と分かる。しかし、造型や扱う意識や醸し出される世界の誕生感に差異はない。序盤の駅ホー厶や施設での縦めやそのフォローめ、取分け喧嘩での顕著なアクション·リアクションの切り返しは、中盤以降、自然の中(林や野·せせらぎや川·山頂ら)を憑かれた様に走り続けるパンや横フォローのコマ速度もハンディに変わっての(サイズもFめから大Lまで)、果てない繋げの可能性、畑での労働の姿らへの横移動、らの横への延長·拡がりの魅惑に取って代わられる。映画史上でも例は少ない、飾りでない、真の生の解放のイメージ。全体にも、実景背景がS·プロセスを上廻り、縦めの図·(90°変)切り返し·アップ(連)の個性らは、決して映画的モンタージュのスピード(の誤魔化し)に走らず、あくまで目に留まる物らはクリアだ。
　世の中の恐怖への対抗で身につけた凶暴さと無言の姿勢は変らず、施設でも孤高を守り抜き·反発を食らってる10代半ばの少女だが、もう一つには自分の事で悩んでくれて·それが他の少女らの嫉妬·反感を買ってる先生(校長らは理解)を護る為の策でもある。
　それが自然に惹かれて脱走の形を取るが嵐に見舞われ、逃げ込んだ小屋で、マタギの父が長期不在でひもじい思いの幼い兄弟の面倒を見るようになる。そのうち、行方不明が長期化、しかし言葉と人間性を取り戻すパート·場となる。それは何か不自然も、また作品に相応しい分け方と言える(秀子の20歳前で声もかわいいので、荒んだ目つき·表情だけで言葉を封印した~『さそり』の梶みたく~のと、その解除の為へと)。村や警察の皆や·戻りきたマタギの父に(子を拐ったと)追われ、その中にいるも苦しみ倒れてた先生や、すがる子供たちへ、引き戻るあり方で真実を理解してもらい·広い共感も得てくに至る。
　ラストは畑の共同労働中、あの一家を下の道に見かけ闇雲に駆け下りては、色んな人と接触し、「御免なさい」を翳り·衒いなく·連発してく、ヒロインの澄みきり人の存在に正しく対処してく手応えの歓びの表情連ねである。
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　それ以上の傑作が、処女作『~荒神山』でその侭、マキノ『次郎長三国志』の10部として繋げても、(虎造の唸りは共通も)トーンはともかくレベル的には落ちない傑作である。虎造の浪曲や·2階から一階へ·話を伝える切替の段差ないスムースさ、寄りの入れや大L（俯瞰）へ映る無理ない呼吸、(90°変)切り返しや、画面を横切る者の向きの逆化(つまり、カメラのどんでん)ら事件を見守る者らの意外で綺麗な囲み方、役者らの貫禄と含みある事情飲み込み演技、パンら以外は時たまの前後移動(縦めフォローも)がメイン移動で、(『愛の~』ではメインの)横への移動は終部に至っての一回だけのストイックさ。立て板に水、以上の映画骨格も押さえた語り口、処女作ながら。　
　慶安(慶應?)年間、名の通った侠客で一家を構える吉良の仁吉は、嘗て孤児の自分を育ててくれた侠客一家の、兄弟如く育った男が務めを果たしてる間に、その荒神山の縄張りに手を出したは、愛妻·お菊の実父で、その立場を考え、堅気に戻ろうともしたり、そんな息子をなじるも事情を隠す育ての母の事を知る。妻を離縁してまで助っ人にたちあがる義理を取る。折から、素人衆に迷惑かけた事の理を親分に話して貰いたく来てた、大政ら次郎長の子分らも手助けに。戦いに勝つが、仁吉は卑怯な凶弾に倒れる。しかし、同じ頃·愛妻お菊も、親元には帰らず自害していた。
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　それに比べると、圧倒的人気の千葉泰樹、初期や晩年を除き、妙に訳あり、映画的不可思議味わいの中堅·快調全盛期が、やはり私にはまやかしに見える。『幡随院~』は、大坂の陣以来の浪人の流れを汲む、外様大名のバックも気になる、勢力や理不尽さも見せる町奴らを、殲滅せんと、直参絡み身内ながら旗本の次男坊·三男坊らから成る、これは暴れっぷりが表に出てる、旗本奴にちょっかいをかけさす手の、老中水野。しかし町奴の元締めの長兵衛は、表向き負けても、自分らの立つ瀬·ゆくゆくの勝利は、商売にしかないと、皆を制してく。遂に大きないざこざ起こり、それを仲裁の由井正雪絡みの決起への協力依頼もあるも断り、水野絡みの表向き慰労の場に、命を落すを承知で単身出かけてく。　
　セットや前進座や東宝の味あるスター勢揃いの渋い立派さ、じっくりした縦移動や退きのメンバー揃いの角度組立の、スケール·拡がり·腹芸らの、風格とニュアンスを感じてく·それが映画といわれる一般理解かも知れないが、個人的にはあまりどうでもいい。