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あゝ、荒野 前篇の1234のレビュー・感想・評価

あゝ、荒野 前篇(2017年製作の映画)
5.0
公開二日目に、池袋よさこいをかき分けて、映画館で今しがた。

最高です。
レビュー書くのが、ばかばかしくなる。

変なこと言うようですが、自殺を考えるのがばかばかしくなるのは、きっとこんな感じなのだろうと思います。

ほんとの意味での「自殺防止」(ヘンなことばですね…)でしょうね。

自殺を、抗議などの「行為」(〝テロ〟)と捉えるのか、自分が死んでいる「状態」と捉えるのかで、まったくたどり着く結論が違うんですね。

フェスの主催者は、生きてるんだけど(嘘までついて)「はじめから死んでいる」。
主人公たちは、死んでいる場所で「生きている(「それでも、生きなきゃならねえんだよ、小僧」)」

通常対立してると思われがちな二者が実は同じ位置にて、ほんとの対立軸が別にあることに気づきます。

防衛省(?)のスカウト・テロ取締と、自殺防止フェスの主催者は、同じ位置にいる。

ボクシングする主人公と、自殺を考えながら生きる元自衛官が同じ位置にいる。

この位置の違いは、考え方の違いではなくて、リアルの深度の違いから来るのだと思います。

きっとご覧になった方ならば、何が言いたいのか、すぐにお判りになるかと。そんな脈動する生きた作品です。

フェスの主催者は、おそらく平成版の三島由紀夫を図らずも再現したのでしょう。

フェスの登場人物や出来事は、ネット中継含めてすべて、いまの日本の延長線上の「リアル」ですが、きっと続編で「そんなもん現実を見てないニセモノのリアルだ!」と独自の啖呵を切ってくれる気がします。

早く続編が観たい。
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