みんと

モン・ロワ 愛を巡るそれぞれの理由のみんとのレビュー・感想・評価

3.8
あ~なんともスッキリしない作品だった。
でも個人的には好みの作品だった。

観てる間中モヤモヤ&イライラしてるんだけど、最後の最後で感情の全てをひっくり返されたかのような着地に心が揺さぶられる。敢えて例えるなら『マルコム&マリー』を観た時の感情に近いのかなあ…?

パリで運命的な再会を果たした男と女の10年間の愛の軌跡を回想と言う形で描いてゆく。恋愛の美しい部分だけではなく経年と共に訪れる醜い部分も容赦なく描き出す。ものすごくフランス的に熱く激しく…。

エキセントリックな2人だからこそ引き合う力が働く。理屈じゃなく本能が求めるし無意識にぶつかり合いすら求めているかのよう。愛とかのレベルを超えてもはやお互いが生きてる事を実感する為のツールでもあるかのよう。

女性がつい放っておけなくなるヴァンサン・カッセルのろくでなしぶりがハマり過ぎて素晴らしい。こんな男性に振り回されてみたい願望すら湧いちゃうくらい。笑
そしてなんと言ってもヒロインを演じたエマニュエル・ベルコの鬼気迫る演技。血管切れそうな怒りのシーン、ぐしゃぐしゃ泣きのシーンと圧巻の連続だった。まさに体当たりの演技と言うか。

くっついては離れるの繰り返しは一時たりとも安定を許さないのだけれど、こんな関係も有りなのかなあ…いや有りなのだと思う。
女性監督ならではの視点、或いは監督自身の恋愛観すら透けて見えるようなこれもまたひとつの愛のカタチ。決して言葉で語らない、映像だけで(眼差しだけで)諭されるかのような締め方は痺れる程にカッコ良い!

あとルイ・ガレルのポジションがなんだか惜しい。
みんと

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