蛙

ロブスターの蛙のレビュー・感想・評価

ロブスター(2015年製作の映画)
3.5
面白ーい!

「哀れなるものたち」に絶賛の嵐が降り注いでいるヨルゴス・ランティモス監督。Unoさんのオススメから予習として観た本作。なんだコレ、すっごい変な設定。45日以内にパートナーが見つからないと動物に変えられるって何だ!?

その奇妙な設定から浮き上がってくるテーマは「愛」。社会性の中でしか生きられない私達は、どうしても人との関係性からは逃れられない。大袈裟ではなく、人生の喜びや苦しみ、その殆どは自分と誰か(達)との関係性の中にある。その最も前向きな概念が「愛」だと思う。

その「愛」をこれでもかとメッタ斬り。彩度低めのくすんだ色調と落ち着いたトーンで映し出されるのは、シニカルな視線の愛の形。相手に合わせようと必死になる、自分との共通点だけで好きになる、共通点が無くなったら?どれも身に刺さりまくる、普段は目を逸らしがちの愛のダークサイド。

ユーモアとスリラーのきわきわの所を、何とかユーモアに保つ。サイレントディスコ、音楽で発情はかなり笑いました😆俳優達の持ち味を十全に引き出す。コリン・ファレルの優柔不断さ、レア・セドゥの徹底的なアセクシャルさが今作の個人的なピッタリ配役。そしてこの奇抜な設定ながら、身近な話として捉えさせる、その技術とセンス。

観れば観るほどクセになるヨルゴス・ランティモス作品。新作がますます楽しみです!
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