ヒロタケ

我々のものではない世界のヒロタケのレビュー・感想・評価

我々のものではない世界(2012年製作の映画)
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場所はレバノンのパレスチナ難民キャンプ。キャンプと言っても何十年も難民が暮らしている場所なので大きな建物が立ち並ぶ。レバノンでもパレスチナ難民は厄介者扱いで、働く場所は無いし、移動の自由もない。なので、狭苦しいキャンプで唯々時間を潰す日々。暇を持て余す彼らを熱くさせるのはサッカー。特にワールドカップ。各々が何の関係もない国の代表チームを贔屓にして、熱くなり、馬鹿騒ぎをする。そうやって空虚な日々を埋めていく・・・。
主人公は、そんな馬鹿騒ぎにも冷めてしまって、すべてを呪う。イスラエルも、ハマスも、ファタハも、パレスチナも、難民キャンプも。そこに現れたのは、パレスチナを出て、西欧で育ち、世界中を自由に行き来できる映画監督。最も自由な若者が、最も不自由な若者にカメラを向ける。そんな中、彼は自爆テロをほのめかす。

特殊な政治状況でがんじがらめの若者を撮った映画だが、世界中の若者が共感できる普遍的な映画だと思うのは、俺だけだろうか?

ボロボロのマンションに挟まれた真っ暗な道を一人歩く主人公。そこを若者の馬鹿騒ぎが通り過ぎ、遠くに消えていく。思い出すたびに心を掴まれるシーンだ。俺は、これからの人生で何度でもこのシーンを思い出すだろう。
ヒロタケ

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