ヒロタケ

ペネロピのヒロタケのネタバレレビュー・内容・結末

ペネロピ(2006年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

豚鼻でもペネロピを演じた女優が可愛すぎるから、コンプレックスとして描くのは映画として弱い、という意見が多いようだけども、そこは作り手の意図通りなのではと思う。映画ではペネロピの顔は世間に受け入れられるのだから。

ペネロピ一家の元を去った執事、というか魔女は何を思っただろうか。そしてペネロピの母はどうして声を失ったのか。
想像だけども、魔女もペネロピの母も似たもの同士だったのではないか。

魔女は自分の娘を幸せにするために、名家に使用人として送り込み玉の輿を狙った。それが娘の幸せだと思い込んで。ペネロピの母は、ペネロピを世間から隠し、ペネロピの呪いを解くために名家との結婚に必死になった。豚鼻は女にとっての不幸だと信じて止まないからだ。魔女もペネロピの母も、女は男に幸せにして貰うもの、そのために理想の女性に、理想の見た目でなければならない、と思い込んでいる。

ペネロピが結婚せずに自分の鼻を受け入れて呪いを解いたことは、おそらく魔女にとって青天の霹靂だったはずだ。結婚こそが女の幸せではなかったのか。結婚できないように見た目を悪くすることが呪いとして意味を持つのではなかったのか。そして、娘に玉の輿を押しつけて不幸な結果に追いやったのは、自分にも原因があるのではないか。魔女が一家の元を立ち去ったのはペネロピに敗北したからであり、ペネロピの母が声を失ったのは「もう何も言うな」という、ペネロピの母に対するメッセージであり、そして自分にも言い聞かせたのではないか。

ペネロピの呪いが解けた後に、ペネロピを苦しめようとした金持ちの息子エドワードに手紙を書く場面があるのは、この映画が女の子のコンプレックスだけを対象としていない表れだろう。
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