Solidarity

オッド・トーマス 死神と奇妙な救世主のSolidarityのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

R.I.P. ANTON YELCHIN

アントン・イェルチンは27歳という若さで2016年6月19日に不慮の事故で亡くなりました。

彼の魅力は大きな瞳にあります。彼の瞳はいつも私に訴えかけて来ます。慈愛に満ちた瞳はどんな役を演じても隠しようがありません。彼の本質は天使そのものだと思います。その特別な存在は亡くなった後も色褪せることなく残された映像の中で生き続けています。ANTONファンにとってはただそれだけが唯一の救いです。

『オッド・トーマス 死神と奇妙な救世主』では主役のオッド・トーマスを演じています。オッドは「シックス・センス」の少年コールと違って幽霊の他に死を嗅ぎ付ける怪物ボダッハも見えます。ボダッハが一カ所に群れる光景を目の当たりにしたオッドは大量殺りくが起きる前触れと察知しそのテロを未然に防ごうとしますが、ボダッハに裏をかかれてテロの阻止には失敗してしまいます。テロ勃発後、彼は勇猛果敢にテロリストと闘いテロの被害を最小限に食い止めることができましたが爆破物処理で大怪我を負い入院生活を余儀なくされました。でもオッドが横たわるベッドの傍らには「生涯を共にすると定められている恋人」ストーミー・ルウェリンがいて逢瀬を重ねることが出来ました。このストーミー役のアディソン・ティムリンがとてもチャーミングで素晴らしい!ラストで明かされるお別れのキスシーンはピュアで美しく、「アトランティスのこころ」のボビーとキャロルのキスを彷彿とさせます。

ANTONが演じたオッドは「シックス・センス」の少年コールと同じく死者の願いを叶えて成仏させますが、その時に告げる台詞に感慨深いものがあります。それはその台詞がANTON自身に向けられていたからです。

「心配ないよ。君がこれから行くのは魂の家で優しさと驚きがあふれている所だ。かわいそうに。短い人生だったね。」

『オッド・トーマス 死神と奇妙な救世主』は「オッド・トーマス」シリーズの第1作で続編も計画されていましたが、スポンサーが出資をしぶり訴訟に発展したため本国のアメリカでは未だに公開されていません。映画公開されたのは日本だけです(ハンガリーではDVDが販売されているようです)。この映画はホラー×サスペンス×アクションでANTONの新境地を開くシリーズ物の映画になるはずでした。それは彼の死と共に立ち消えとなり残念と言うほかありません。

大きな瞳と整った眉毛で演技する彼のスタイルは大人になっても何ら変わることはありませんでした。少しかすれ気味の声も子役時代から引き継がれていてこれが天賦の才というものなのでしょう。つまり彼は子役時代からすでに名優だったのです。

これまでの数々の名演に惜しみない拍手を心から送ります。

安らかに  アントン・イェルチン
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