義清

トゥ・ザ・ワンダーの義清のレビュー・感想・評価

トゥ・ザ・ワンダー(2012年製作の映画)
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どこをとっても絵になる美しい映像。ただ、途中寝てしまったせいで、ストーリーそのものが蜃気楼のように揺れ動き、消えてしまいそうなイメージを持った。
始まりは特急列車のボックス席。女の瞳孔をアップで撮ってたのが印象的。そこらへんだけデジタル的。ただ、そのあとは、デジタルの効果を最大限に活用しながら、デジタルだからこそ出せる、鮮やかでリアルなタッチに終始する。
俳優の演技に、カメラの存在感が全くと言っていいほど無い。その点に関しては、まるで動物ドキュメンタリーかCGアニメのよう。ストーリーには抑揚があるのに、映像には抑揚がない。登場人物が言い争っていても、苦悩に苛まれていても、それによって観客として感情移入することは無かった。だから、居間のテレビで終日流していても、なんの圧迫感もないのではなかろうか。気が向いたときに観て、間に作業や睡眠を挿み、また気が向いたら観る。そんな見方をしても十分意味のあるものだと思う。そこに音はあってもなくてもいい。これを流してるカフェがあったらいいと思う。シナリオが見てみたい。どうしたらあんな演技をさせられるのか?台詞はまだしも、身体的な部分の指示はどのようにしたのか?この場面で階段を降りるとか、この場面でスーパーのカードを止めるとか、そんな指示がいちいちあったら、あの演技は引き出せないんじゃないか?
義清

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