スローターハウス154

ファイナル・デスティネーションのスローターハウス154のネタバレレビュー・内容・結末

3.2

このレビューはネタバレを含みます

2021/10/31

「なぜ自分だけが生き残ってしまったのか」「なぜあの人が死ななければいけなかったのか」という答えのない問いは、死を伴う事件や災害に巻き込まれたことのある人なら一度は頭をよぎったことがあるだろうと思う。この問いは「人生には意味がある(だからその死にも意味がある)」と信じたい思い(願い)から来ているものなのかもしれない。
この作品は、人間は運命に抗えるのか、という試みを描いているのだと思う。直感が冴えた主人公がその直感に従うことで死神(?)に逆らい、死の順番を狂わせたことで勝利を得る。かと思えば「やっぱ運命は変えられんわ(笑)」という日和見な展開をオチとしている。「死神をやっつけたぞ!」という安直なラストは避け、運命には逆らえないという、あくまでも謙虚な姿勢で締めたかったのかなと思う。

偶然は偶然なのではなく必然であり、いつもどこかに点と点で繋げられる「サイン」がある。ごく一部の人間は「サイン」を見出せて、それらが意味するところの“真実”を知っている。その人を信じれば自分たちも救われる。この映画で描いていることからそういう趣旨を見出してしまったのは、いわゆる陰謀論者の思考に近いものをストーリーやセリフから感じたからだと思う。考えすぎだと思いたい。
現代のアメリカだったらこの主人公は「飛行機事故を予知した奇跡の青年」として陰謀論者、スピリチュアル界隈で崇められるんじゃないかな...と思ったり。

基本的に事情聴取しかしてないFBIの無能閑職感...。ラスト、さんざトラウマになったであろう飛行機にわざわざ乗ってパリでご苦労さん会するとか、主人公たちのメンタルどうなってるんだ.. など、作品全体として突っ込みどころは多め。