みんと

マイ・サマー・オブ・ラブのみんとのレビュー・感想・評価

マイ・サマー・オブ・ラブ(2004年製作の映画)
3.6
『イーダ』『COLD・WAR~』のパヴェウ・パヴリコフスキー監督デビュー作。

コチラはカラー作品。やはり随所でハッとするような映像美が素晴らしく、冒頭からグッと惹き込まれる。

風光明媚なヨークシャーでひと夏を過ごす、未成熟で不安定な二人の少女を描いた作品。
あたかも過ぎ去ったあの夏を彼女たちと共に過ごしたようなノスタルジー。観終えてかすかな胸の痛みを残すのは、紛れもなく少女が成長する痛みだった。

エミリー・ブラントは美しく高慢な少女を見事に演じきり、女優として成長していく上で大きな評価を得たと言う。
とても初めてとは思えないくらい堂々としたラブシーンも演じていて、既にこの時から大物感全開。美しいお胸も大胆に披露してた。

勿論ナタリー・プレスも、問題も多い田舎の少女を好演していた。とりわけアドリブで取り入れられた彼女の落書きシーンは印象的でとても効果的だった。

そもそも今作の生命線は二人の少女。そのキャスティングは難航し、選考に8ヶ月もかかったそう。だけど、結果見事な化学反応が生まれていたと思う。
美しい風景と夏らしいカラフルな色使いが、作品をより魅力的なものにしていたのも間違いない。

なんと言っても、公開時、エミリー・ブラント21歳、ナタリー・プレス24歳にも関わらず、映画では二人ともまったく十代そのものに見えるのが素晴らしい。

ただ、ストーリーと言えば、正直 散らかった印象も否めず。
スピリチュアルな散りばめは、女子特有の一定時期の神秘性のメタファーの様にも受け取れたけど、ボリューム感は微妙だったなぁ…

通してヨークシャーの眩しい夏の日差しとか、キラキラした煌めきが少女二人の瑞々しさを際立たせていた。美しくて儚くて脆くて、そして勿論青春時代の苦味も。


雰囲気がめちゃくちゃ良いだけに、作品としては若干、勿体ない気がした。
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