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ヒトラーの旋律のmhのレビュー・感想・評価

ヒトラーの旋律(2006年製作の映画)
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リトアニアにあったゲットーを題材にした戯曲の映画化。
リトアニアにおけるホロコーストや、ワルシャワゲットー以外のゲットーだったり、ナチスドイツ(とユダヤ人評議会)が管理したゲットーという仕組みの終焉を扱っていたりと、レア設定にことかかない。
ググるとビリニュスゲットーはユダヤ人評議会によってうまく運営していたとのこと。
なんで彼らは生かされていたのかという問いには、ざっくり「労働許可証」を発行してもらっていたからという認識であってそう。
この映画(の原作である戯曲)がすごいのは、そこで劇団を結成するという、エンタメ的な飛躍を与えているところ。
リトアニアに大きなユダヤ人コミュニティがあって、そこでユダヤ人たちの文化が花開いていたことも示しているし、
賛否両論あるユダヤ人ゲットー警察をうまく物語に絡めることに成功している。
映画では悪者として扱われることが多い、ユダヤ人ゲットー警察を哀愁たっぷりに描いてる。その点だけとっても価値が高い。
ワルシャワゲットー蜂起に呼応して、パルチザンたちの活動に弾みがつくも、ナチスドイツのゲットー管理も転換を迫られる。
終盤はゲットーという仕組み自体が消えてなくなる。それに抗うユダヤ人たちと、結局、虐殺という選択肢を選んだSSという図式。
チープに見える画面や、終盤の牽強付会に見える展開も、原作が戯曲とわかれば納得だった。
字幕のクオリティーが低いのがもったいなかった。
面白かった。
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