国家機密を知ってしまったデビッドは逃亡の末田舎町の夫婦と出会う。
助けられたのも束の間、機関はすぐに追っ手を送ってくる。
そこでデビッドは3人で逃亡の旅に出る。

この映画とにかく情報が少なく、デビッドは重大な記憶がないという設定なので、追っ手の組織の概要もそれほど分かりにくい。

一方夫婦の方の妻も疑いを向け、デビッドを信用しない。

恐らく結末は予想した通りのままだと思う。
その悲壮感を煽るのがエンニオ・モリコーネの切ないメロディ。
これだけでも聞きごたえがある部分だった。

同じ題材をハリウッドで作ったら、全く別の味付け、料理になっていただろう。

重要秘密情報を知ってしまった男が監禁され、そこから逃亡。
協力者が現れ、共に逃亡。
追ってくる組織、、、

ハリウッドもお得意な食材。

でも、こっちはフランスクライム

ハリウッドが
謎解き・サスペンス・正義・真実・友情・解決スッキリ！

だとしたら、フランスクライムは
謎だらけ・サスペンス・不正義・闇の中
・疑心・解決？どんより🥵

って感じ。

逃亡する奴がスターで、かっこよくて、いい奴みたいなアメリカに比べて、

まあ、ジャンルイ・トランティニアンだからかっこいいんだけど、結構クセが強くて、嫌な奴(･_･;

助けてくれた作家夫婦に結構強気に出たりして、少し日本やアメリカの感覚と違う。


フィリップ・ノワレとの友情？もどーもはっきりしたものでないし、彼の言う
「僕はラッキー、君はアンラッキー、足してちょうどいい！」て、意味分かるようで分かんない。

奥さんジュリアの心配が至極ごもっともで
僕も「関わらない方がいいよ〜」って思っちゃう。


それから、この副題、ダメだよね、、、

ある国家機密を知った男デビッドが、逃げ着いた村に暮らす男トマスと妻のジュリアと共に逃亡を図るという話。
監督は「冒険者たち」のロベール・アンリコ。

非常にスリリングな映画で、個人的にはあっという間の1時間40分だった。
額にポタポタと垂らされ続ける水滴と、その拷問を雁字搦め状態で受ける男(ジャン=ルイ・トランティニャン)をモリコーネの音楽とオレンジのライトをバックに執拗に映し続けるオープニングからして素晴らしく、その後看守を殺害し脱走を図る場面でガッシリと心を掴まれ引き込まれてしまった。

村で知り合った夫婦と打ち解け合うまでのやりとりも緊張感があり、常に不信感を表し一向に主人公に心を開こうとしないジュリア(マルレーヌ・ジョベール)の気丈さと美貌も目を引く。
そりゃ主人公も惚れられてると勘違いしてもおかしくないよという妖艶さと男を幻惑させる魅力がある。

警戒心の塊のような妻とは対照的に、夫トマス(フィリップ・ノワレ)は主人公に対して沸いた疑心は全部何処かに捨ててしまうようなお人好しで、あまりの疑わなさにそれはどうなの？と思うところもあった。
ただ、そんな夫に諭されるとたとえ命の危険があるとしても彼の傍を離れないという妻としての愛が、二人の夫婦関係の深さを表しているとも言える。

男が知った国家機密の内容的には、70年代の政府だからこその秘匿体制を描いたもので「カッコーの巣の上で」に通ずる怖さがある。
「知り過ぎた男」というのが主人公以外にも誰を指しているのかが分かるラストの恐怖もさることながら、そこでバッサリと何事も無かったかのように切られてしまうような締め方がさらに陰謀に纏わる人間の鬼畜さを表しているかのようだった。

何者かに追われるスリラーとゾクゾクとする様な尾を引く後味が魅力の、非常に非情で非道な隠れた傑作である。