Solidarity

トムとトーマスのSolidarityのレビュー・感想・評価

トムとトーマス(2002年製作の映画)
5.0
この映画の魅力は一卵性双生児の入れ替わりに劇中の登場人物が誰も気づかないことだ。他人が騙されている光景を見るのは本能的に楽しい。『シックス・センス』のシャマラン監督が私達観客をまんまと騙してほくそ笑んだように。騙す方も騙される方もハッピーになれるなら騙す行為は許される。

騙される側には弱点がある。流れる車窓の風景を漠然と眺めように過ごし先入観からそんなはずはないと決めつけて自分を疑おうとしない。

一卵性双生児は感じる痛みを通してお互いの境遇を知ることができる。これは生き別れの二人がもとの鞘に収まる為に必要な能力の一つだがこれ以上に分かつことのできない兄弟愛の絆がトラブルを乗り越え幸せをつかむ。上手く行ったときの二人の合言葉“タッチダウン!”は何度聞いても心地好い。

トムの“大丈夫?”に答えるトーマスの義父のセリフ“何だか前に会った気がする”も洒落ている。

養子になったトムが初めて口にした“パパお願い”に“言ったね。今パパと呼んだ”とトーマスが冷やかすと“呼んでいない”と否定するトムに対してトーマスは追い討ちをかける。
“でもパパだよ”
殊玉のセリフにタッチダウン!

アーロン・ジョンソンの演じ分けも見事だった。
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