toriten45

山の焚火のtoriten45のレビュー・感想・評価

山の焚火(1985年製作の映画)
4.1
広大なアルプスの山腹にポツンと一軒家。山々に神々が宿ってるかのように幻想的。そこで暮らす4人家族による自給自足の労働生活は、大自然に溶け込んでいるかのようで時間を忘れて魅入ってしまいます。ナレーションのないドキュメンタリーを観ている雰囲気もあったりしました。

スイスのロカルノ国際映画祭で金豹賞(グランプリ)を受賞されたのですね。以降しばしばフレディ・ムーラー監督の上映特集が日本でも企画されているみたいなので今後も映画館で観る機会もありそう。

静かに黙々と繰り返される日々の営み。BGMどころか会話も少なくシーンと沈黙が続くので、岩がむき出しになった山々の神聖さが一層引き立つ感じがしました。沈黙が物語をより雄弁にさせていくのでしょうね。きっとそんな効果があるのだと思います。

やがてこの家族の中で起きる過ちと悲劇も、観る側の感情を掻き立てるような演出は控えめ。一定の距離感を保つことで、淡々ととしているのにとても表現豊かに描かれている作品だと思いました。

フレディ・ムーラー監督の他の作品はどんな感じなのでしょう?とても気になります。
toriten45

toriten45