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犬ヶ島のtoriten45のレビュー・感想・評価

犬ヶ島(2018年製作の映画)
3.1
ひとつひとつの場面や小道具に独特な美術センスとこだわりが感じられて、まるで絵画か絵本みたい。

私の中で独特な世界観を特徴とする監督といえば、ジャン=ピエール・ジュネやティム・バートンが思い当たるところですが、本作のウェス・アンダーソンが一番安定している気がします。全部観たわけではないのでいまのところは…。

本作は舞台が今から20年後の日本。未来なのに大正時代の雰囲気もあり、絵巻や屏風などの日本画の本格テイストも取り込んでいて、相撲や神社、学校の校舎などもなんとも可愛らしいけど摩訶不思議。

そしてビックリするぐらいジャパンが詰まっている。きっとウェス・アンダーソンはハンパない日本通か、ハンパないぐらい一生懸命に調べたか、ハンパない日本通が製作メンバーにいたか、日本人クリエイターがアドバイザリーにいたのだと思います。おそらくジャパンオタクなウェス・アンダーソンが作りたかったのは日本人も受け入れてくれるような不思議な国ジャパン。そんなことを感じさせてくれるようなクオリティで、嫌味がなく素敵で楽しかったです。彼のような世界クラスの映画監督によって、日本人も楽しめるような摩訶不思議ジャパンを舞台にした映画を作ってくれるのは正直うれしい。

ネット情報を漁るとどうもメガ崎市のコバヤシ市長の声を担当した野村訓市という日本人クリエイターが制作にも関わっているとのこと。本作の声優にビル・マーレーやスカーレット・ヨハンソンがいたので、ひょっとして日本通ソフィア・コッポラが絡んでる?と思ってしまいましたが、この野村訓市を、若かりしウェス・アンダーソンに紹介したのがソフィア・コッポラなのだそう。本作の制作に関わっている兄ロマン・コッポラといいウェス・アンダーソンにはコッポラ一家と強いコネクションがあるみたい。へーってなりました。

ストーリーは単純なのにわざわざ複雑にしている感じがあって、ちょっと入り込めなかったかな。私的には他のウェス作品もそうですが心揺さぶる何かがもの足りないけど目と耳で楽しむ作品でした。

ところでスカーレット・ヨハンソンって声もいいのですね。
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