toriten45

タクシードライバーのtoriten45のレビュー・感想・評価

タクシードライバー(1976年製作の映画)
4.1
いまはすっかり様変わりしたニューヨークですが、当時は地下鉄や建物は落書きだらけで歩道も汚く、1人で歩くのは危険なぐらいの犯罪都市でした。

怪しげなネオン、街角に立つ売春婦、歩道にたむろしているポン引きや売人っぽい男たちなど、淫猥な雰囲気がプンプン。そんな都会に住む人々の狂気とか屈折した心理状態をトラヴィスの視点で描いています。ベトナム戦争兵役によるPTSDなのかトラビスもそうとう性格が屈折してる…。

ついでに言うなら選挙事務所に勤めるベツイも見た目が普通なのにどこかしら変。挙動のおかしいトラヴィスに興味を抱いてデートに付き合うなんて……。みんな孤独な人ばかり。

70年代のニューヨークを舞台にした孤独なタクシードライバーの話。演じたロバート・デ・ニーロ、30代のこの頃が一番輝いていると思います。 しかし80歳を超えた今でも精力的に活動し続けているのもすごいですね。

アメリカの闇を描いた社会派映画であるけど、見え隠れする孤独と狂気は現代の日本でも通ずる普遍的なテーマに見えます。そして、こういう映画に魅力を感じる私もどこかしら屈折したところがあるんでしょうね。
toriten45

toriten45