男が刺殺され、容疑者として浮かんだのは若く美しい女性。目撃者が何人もいて、みな顔を覚えているし、すぐに名前も分かり、職場も分かる。現場で目撃されたのは彼女で間違いがない。でも彼女には完ぺきなアリバイがあった。なぜなら彼女は双子だったから。果たして犯人は二人のうちのどちらなのか。警察と精神分析医がその真相に迫る。
スリリングだし、双子を演じたオリヴィア・デ・ハヴィランドの演技も秀逸。きちんと別人に見えるし、結末に近づくにつれてサイコパスぶりを発揮して迫力もある。そして40年代の作品なのに合成が全く違和感がないのも感心した。
惜しいのは、「果たして双子のヒロインのうち、どちらが犯人なのか」にスポットが当たっていたところ。もしこれが「双子の片方がもう片方をかばった場合、果たして犯人を特定することができるのか」にもっとフォーカスしていれば、さらに複雑で興味深い作品になったと思われる。
とはいえ、十分見ごたえのある作品だった。ちなみに双子を演じたオリヴィア・デ・ハヴィランドは、言うまでもなく『風と共に去りぬ(1939)』のメラーニー役の女優。
あ、そうそう、同じ女優が演じる双子ということで見分けがつかないかも・・・なんて心配は無用。ちゃんと「テリー」「ルース」と名前が形どられたネックレスや、イニシャルの「T」「R」となったブローチをつけて登場してくれる親切設計です草。そこはご愛嬌と言うことで。