ちょげみ

シザーハンズのちょげみのレビュー・感想・評価

シザーハンズ(1990年製作の映画)
3.7
【あらすじ】
大発明家によって作られた人造人間エドワードは、両手がハサミという不完全な身体で屋敷に一人で過ごしていた。
ある時、ふとしたきっかけでそこにやってきたボッグス一家の母ペグに連れられて街に降り、ボッグス一家の家にお邪魔するようになったエドワード。
彼はハサミを使った庭の手入れやヘアカットで人気を博し、街にも馴染めるようになったのだが、ある出来事がきっかけに、エドワードに対する住民の態度は変化し始める。。


【感想】
ティムバートンならではの独自の世界観と美しくも涙を誘うラブストーリーが見事に融合した作品。

ジョニーデップ演じるエドワードの独特なビジュアルとコミカルな演技がこの作品を唯一無二の映画にしていた。

それに加えて、エドワードと他の住民との対比がパッキリとなされていたからよりエドワードの存在感が際立っていたかな。

生気を感じられない丘の上の屋敷VSカラフルな街
モノトーンコーデのエドワードVSカラフルな服に身を包んだ住民
感情をあまり表に出さないエドワードVS感情豊かな住民
そして「あちら側のエドワード」VS「こちら側の住民」


一部の人々を除いて、終始一貫してエドワードが街の住民にとって自分達とは違う人間、「あちら側」の人間として描かれていた事はかなり印象的だった。
エドワードがハサミを使ったクリエイティブな才能を発揮させている内は特別な人間として重宝する。
しかし、彼が自分達に理解できない行動、害をなすかもしれない行動を少しでも見せると、すぐに彼に対する評価は一変する。


「特別視」される人間から「異端児」される人間へ。
両者を分ける垣根、ボーダーラインはあってないようなモノで、彼がミスを犯したことにたいする酌量の余地は全くない。
すぐに排斥思考に身を投じ、数の暴力を持ってエドワードを自分達のコミュニティから排除する。

でも一番悲しい事は、彼がどれだけ馴染もうとしても、エドワードは「こちら側」の人間には決してなれなかっただろうという事。
今の時代にも通じると思いますが、マイノリティの行きずらさをこれでもかというほど描き切っていました。

ティムバートンならではの「コミカルさ、ポップさ」と「ダークさ」が遺憾無く発揮された作品でした。
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