イカのおすし

地獄のヒーローのイカのおすしのレビュー・感想・評価

地獄のヒーロー(1984年製作の映画)
5.0
「ブルース・リーに胸毛をむしり取られた男」として知られるチャック・ノリスの出世作。

【80年代/キャノン製作/チャック・ノリス】というアクション映画三種の神器が揃っているので面白くないわけがない。が、似たようなタイトル、内容の映画が多過ぎるせいで内容を正確に記憶できず、頭の中で色んな作品とゴッチャになってしまうのがこのテの映画の悲しい性である。

とはいえ、本作がオリジナリティ皆無なのかと言うとそんな事はない。「こいつとは必ずラストで決着戦になるだろう」と誰もが思う、残忍でコワモテのラスボス感まる出しな敵キャラが早い段階でサクッと死んじゃうのである。こんな意表を突く展開は中々見られるものではなく貴重だ(それが奏功しているかはまた別問題ではある)。

自分的には「ブレードランナー」のブライアント警部と目玉屋おじさんが出演しているのも嬉しいポイントだが、目玉屋もまた重要人物と思わせといて直ぐ死んでしまう。

そんな訳で主要な敵キャラが早々といなくなってしまい、後半は名も無きモブキャラ共をひたすら蹴散らし捕虜を救出するという、無料シューティングゲームのような展開となるが、公開当時は観客が総立ちになったとか、ベトナム帰還兵が涙を流して感動に打ち震えたといった逸話も多数あるので(ただし全てチャックの自己申告による)、日本人がただ面白がる以上の素晴らしい何かがあるに違いない。

「ドラゴンへの道」から10年以上が過ぎているので、チャックの胸毛もさすがに元の状態にビッシリと生え揃っていた。