交通事故の後遺症で精神的不調をきたしている女性の誰にも理解してもらえない不安と孤独を描いた作品。
無機質な工場地帯のぼやけた景色の中から浮かび上がるタイトルバックと直後の食べかけのハンバーガーを買い取るというただならぬシーンからもう既に暗雲が漂っている。
得体の知れない恐怖に陥った彼女の内面世界を映し出したような映像は薄暗さと憂鬱さが充満していて霧の中に覆われるような感覚になる。
タイトルから察するに、砂漠のように渇いた心の隙間に差し込む一時の愛も結局は何も意味を成さないということだろうか。
明確な説明などは無く、ましてや救いや希望があるわけでもない。愛の不毛とやらをただひたすらに見つめるしかなかった。
構図や色彩の使い方なども含めて言葉よりも映像で物語を紡いでいくアントニオーニは好きな監督の一人かもしれない。