毛玉

ベルヴィル・ランデブーの毛玉のレビュー・感想・評価

ベルヴィル・ランデブー(2002年製作の映画)
4.3
俺が見ていたのは夢だったのか、映画だったのか…。

グロテスクなまでにデフォルメされるも、どこか愛らしさを感じる不思議なルックの世界観のフランス。デフォルメされた“ベルヴィル”の街の様子が映し出される映像から、本作は幕を開けます。
その映像が終わると、おばあちゃんの「もう終わりかい?」という声。内気なシャンピオンは、返事もしない。

ブラックというか、グロテスクというか、でも、メルヘンというか、キュートというか…。どんな映画だったかを聞かれたら、ひと言では表現できません。
アニメーションの滑らかさや表現と美しさは、今敏作品や『蒸気船ウィリー』の雰囲気を感じます。
セリフが全体で100単語もなく、ほぼ音とアニメーション表現だけで進行していくのですが、不思議と食い入るように見てしまいました。次の瞬間に何が起きるのかを期待しながら、その期待の滑らかにかわしていく展開が心地よかったからかもしれません。

“戦後のフランス”“1枚の写真”だけで、おばあちゃんのシャンピオンへの愛と、シャンピオンの自転車への愛と、ブルーノの絆を感じ、荒唐無稽なアニメーションシーンでも、根底の愛を感じで温かな気持ちになってしまうこともありました。
しかし、そのルックは狂気性があり、どぎつく、勢いを感じるのです。新しい感情が生まれました。

個人的な話ですが、
本作はパートナーが職場の同僚さんから紹介された作品で、職場の同僚さんがこの映画を見る分には良くても、これを勧めるというのは、どんな人なのか気になりました。
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