KANA

ザ・フォッグのKANAのレビュー・感想・評価

ザ・フォッグ(1980年製作の映画)
3.7

ジョン・カーペンターによる(監督、脚本、音楽)オーソドックスなホラー作品。

誕生100周年に沸く北カリフォルニアの小さな港町、アントニオ・ベイ。
午前0時、地元ラジオ局のDJスティービーが町の誕生日を告げると同時に、不気味な霧が漂い、次々と人が惨殺されアントニオ・ベイはパニックに陥る。
そして次第に町の誕生にまつわる秘密が明かされていく…。

結構好みだった。
今のホラーファンからしたら刺激的とはいえないのかもしれないけど、個人的にはこういうぞわぞわっとするゴシックなムードがたまらなく好き。

冬の夜、港、船上、ドライブ、ラジオ…
オープニングからいかにも何かが起きそうな不穏な雰囲気。
たちこめる霧といい、ライティングといい、ヴィジュアルがとてもシックでミステリアス。
霧の中の亡霊のシルエットも神秘的でいい。
撮影監督誰かなと思って調べたらBTTFのディーン・カンディだった。
そう知るとスモークとライティングが印象的なデロリアンの初登場シーンと重なる!

ラジオから聞こえるスティービー(エイドリアン・バーボー)のハスキーボイスはすごく色っぽくて、本作のアートに一躍買ってると思った。(当時、監督の奥様だったみたいで納得)
灯台の中のラジオスタジオがまた雰囲気よくて素敵。海を眺めながらDJなんて羨ましい!

真夜中に式典をするとか、ラジオの電波を電話代わりに使うとか、何故あの人が犠牲に?とか、ツッコミどころは多いけど、それもB級っぽくて大目に見れる笑

『鳥』にも似た、港町での不穏なムード。それは100年前の怨念。
ゴーストたちの身にもなってみたら…
エンタメなだけでなく、そこには『ゼイ・リブ』にもあったような、カーペンターの搾取する者たちへの批判精神が見え隠れする。
KANA

KANA