う~ん、、、ここで終わるか。
ダルデンヌ兄弟の長編3作目となる初期作品。
ケン・ローチ監督と同じ匂いがする、こちらもまた、社会の底辺で生きる人達の人生を独特のドキュメンタリータッチで追いかける。
外国人違法労働を斡旋し生計を立てている父とその息子イゴール。搾取してかすめ取る、とんでもない父親ではあれ、そうせざるを得ない社会の土壌があり、また息子にとっては絶対的存在にも違いない。
父親に支配され自由意志を奪われ、当たり前のように指示され働くイゴールだが、ある日見過ごせない事件が起こる……。
イゴールが見て、聞いて、経験するものだけを盛り込み、大人へと成長していく姿を鮮やかに、生々しく浮かび上がらせる。しかもベルギーで働く外国人労働者の問題を取り上げ、社会派な側面を大きく絡めながら。
ジェレミー・レニエの繊細で瑞々しい演技が素晴らしい。心情の変化、行動の変化、依存から自立へと成長過程での揺らぎが見事に演じられていた。
更にはオリヴィエ・グルメの微妙に掴めない嫌な雰囲気が見事。今作から既にダルデンヌ作品には欠かせない存在感を放ってた。
そしてプツンとラスト。どんより残る希望と言いきれない余韻の先をアレコレ考えさせられる。