Solidarity

アバウト・ア・ボーイのSolidarityのネタバレレビュー・内容・結末

アバウト・ア・ボーイ(2002年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

支えがもたらす幸福感

人と深く関わろうとしない38歳の独身男性はシングルマザーをターゲットにしたことで不幸な少年と出会ってしまいます。
少年は精神不安定なママを救うためにあの「人間は皆“島”」を信条とする独身男性に助けを求めましたが拒否されたため彼は自ら社会的自殺を決行することにしました。学校のロックコンサートで母の支えになっている歌をママに捧げることにしたのです。学校中の笑い者になるのを覚悟の上で。ステージに立った少年のか細い歌声は当然観客の嘲笑にかき消されて行くのですが突然ギターの伴奏が加わります。それは少年の社会的自殺を止めにやって来たあの独身男性が人と深く関わる選択をした結果でした。ここで少年の歌声は勢いづきます。
ここで歌われる曲はロバータ・フラックの「やさしく歌って」ですが歌の途中で独身男性の歌声とストリングアンサンブルが加わることで雰囲気がぐっと良くなります。
その後、暴発した独身男性は少年の社会的自殺の肩代わりとなって少年とママを救うことに成功します。
その意味はラストシーンへと繋がって行くのですが、脚本が秀逸で構成に不自然さがないので幸福感に満ちたラストシーンは観客に満足感を与えます。

独身男性ウィルを演じた40代のヒュー・グラントは脂の乗り切った状態で素晴らしいの一言に尽きます。
ウィルが初めて真剣交際を望んだシングルマザー役のレイチェル・ワイズはそのセクシーさで観客を悩殺すること間違いなしです。
不幸な少年マーカスを演じたニコラス・ホルトが“ミスティカル”のラップを口ずさむ仕種は技ありのワンシーンでこのキャラクターに愛着を覚えることでしょう。

この幸福感の余韻に浸りたい方にはロバータ・フラックの「Killing me softly with his song」とエンドロールで流れるバッドリー・ドローン・ボーイの「Samething to Talk About」の視聴をお勧めします。
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