またも説明最小限で分かりにくいアンゲロプロス作だが、魔術的ショットの数々も相変わらず素晴らしい。終わる頃には「まるでSFのよう」と感じてたら、やはり1991年に制作されるも、舞台は1999年(らしい…
>>続きを読む前々作『蜂の旅人』も素晴らしい作品だけど、この作品におけるマストロヤンニの素晴らしさはそれを遥かに上回っていると思う。
この作品におけるアンゲロプロスのシグネチャー(ロングショット、大人数の動きと…
このレビューはネタバレを含みます
居場所を求め続ける人達をただ遠くから静かに眺める目線。
<政治家・男>と<婦人>の再会の場面が本当に素晴らしいかった。DVDのブックレットで監督本人が、「婦人は「彼では無い」と一言、突き放すよ…
【鑑賞メモ】
寒々とした木立を背に、鏡面のように滔々と流れる河。
仄暗いホテルの階段や、橋での面会、河の儀式、電線を張る作業員など、冷たく曇った色彩の中に、引き込まれる美しさが散りばめられていて、印…
海上ヘリ,アジア難民死体浮き,ギリシャ国境,国境跨ぎフリ,ラジオ木乗せ対岸渡し,見張り台,ホテル.ベランダ一服,TV撮影隊.列車映し,車古着荷下ろし住民群がり,映像映り人物見覚え止め,討論番組,壁蛍…
>>続きを読むやはりこの監督の作品は神秘的だ。
ぶら下がった死体を下ろすと群がる女たち、河を跨いで行われる結婚式の村人たちが黒い服装で集まっているシーン、そしてラストの電柱によじ登る黄色い人たちの画力が素晴らし…
故郷を失い国境を越える難民と心の居場所を失い境界線を越えてしまった政治家。元に戻ることもできず、先に進むこともできない。ただ沈澱していく。
物理的な国境問題よりもむしろ内面的な国境に主眼を置いてい…
終末が来れば等しく滅びる世界を、小さく小さく切り分ける者たち。
自然に対し勝手に線を引き、それが心の線にもなってしまう。
何故一つになろうとしないのか。
神は何故言葉を分けたのか。
自分の本当の家は…
人は去る
なぜ去るのか
私自身は明確な住所も故郷も持っているのだけれど、
今いるここは果たしてどこで、私はどこから来て、どこへゆくのか、
一体どこへいけば許されるのか、旅をしたいが、きっとどこにも…