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素晴しい哉人生のodyssのレビュー・感想・評価

素晴しい哉人生(1924年製作の映画)
3.0
【名もなく貧しく美しく】

 『国民の創生』で名高いグリフィス監督のモノクロ・サイレンス映画。115分、1924年。原題は"Isn't Life Wonderful?"。

 第一次世界大戦直後のドイツ。ポーランド(のドイツ人居住地域ということでしょう、多分。昔はドイツとポーランドの国境は今より東寄りで、その辺に多数のドイツ人が暮らしていたのです)から移住してきた教授の一家。といっても教授は失業して学校の試験答案の採点でわずかなカネを稼ぎ、おばあさんは車椅子生活、長男テオドールはレストランの給仕に、戦争帰りの次男ポール(ドイツの話だからパウルにすべきだと思うけど)は当初は病気。ほかにおかあさんに加え、孤児の若い女性インガを引き取っている。赤貧洗うがごとき生活。

そんな中で若い二人、つまりポールとインガは愛し合うようになり、やがて結婚したいと言い始めるのですが、二人が入るような部屋はないし、お金もないしで、両親もおばあさんも反対。

そこでポールは一計を案じ、離れた場所に土地を見つけ自力で小さな家を建て、さらに別の場所で馬鈴薯を栽培して・・・

貧しい一家が必死で生きていくお話。といっても貧しい時代には貧しさ故に悪事に走る人間も出てくるわけで、この映画はそういう面もちゃんと捉えています。

惜しむらくは、インガ役のキャロル・デンプスターがあまり魅力的に見えないこと。このとき22~23歳だから老ける年齢じゃないはずだけど、なんか老けて見える人なんですよね。
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