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ヴィタールのodyssのレビュー・感想・評価

ヴィタール(2004年製作の映画)
2.5
【塚本晋也監督の限界】

(以下は2005年に書いたレビューです。)

塚本晋也監督の最新作。 

自動車事故で恋人に死なれた医学生(浅野忠信)が、解剖実習で恋人の遺体と再会し、遺体の腑分けをしていくうちに幻想の中で死んだ恋人との幸福な時間を過ごすようになり・・・というような映画である。 

遺体解剖のグロテスクさと、幻想の中で恋人と過ごす時間の至福、その対極、もしくはつながりを描きたかったのだろうが、そのもくろみは必ずしも成功していないように思う。グロテスクさも至福もどちらも中途半端な感じがする。最後は、生きるということは一瞬の記憶を残すためにこそある、と暗示するシーンで締めくくられる。 この終わり方をも含め、人により好き嫌いが分かれる映画ではあろう。 

なお、私が映画館に行った回は他に誰も観客がいませんでした。 
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