ささきたかひろ

幕末太陽傳のささきたかひろのレビュー・感想・評価

幕末太陽傳(1957年製作の映画)
3.8
古典落語の「居残り佐平次」「品川心中」「三枚起請」「お見立て」などをベースとした喜劇。

古典落語が下敷きになっている作品であるとの予備知識なしに見はじめたが「これってもしかしてあの噺?」と匂わせるだけでは終わらない絶妙な「ネタの忍ばせ方」に恐れ入りやの鬼子母神…。

落語を複数人物に役を振って演ずるなんて本来御法度もいいところなんだけれども、こりゃ主役のフランキー堺の軽妙な芝居にまんまと絆されましたな。

時代劇らしいチャンチャンバラバラがあるわけでなし、宿敵との鍔迫り合いがあるわけでなし、あるのは終始銭勘定という風変わりな時代劇であるが、何故だか「幕末の品川ってこんなんだったんだろうな」と迫り来る説得力がある。

遡ることおよそ百年。東海道はじまりの宿「品川宿」でてんやわんや大騒ぎがあったことなんざ、八ツ山跨線橋を盛大にぶっ壊したゴジラになんざ知るよしもねえでしょうなぁ。

追伸

石原裕次郎は大根役者界のマーロン・ブランドー。

劇中、明らかに猫が2匹死んでそうなので-0.2限点。
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