起こっている出来事はとても重い。
なのに観終わった後は不思議と幸せな気持ち。
あほうの兄が言っていた悪魔とは妄想ではなく現実にいて、あほうの兄はあほうではなく。
当たり前や法律、常識に縛られている町の人間たちの方があほうで悪魔だった。
アリクとの結婚式の際に、町の人達が祝いムードだったことに違和感を持っていたが、父親がいなければいけないとかいうわけのわからない法律を鵜呑みにしていたからか。
終始、動物に対する扱いがひどいのが気になる。
マムラカットと兄が町の人に追われるシーンは牛追いのようだった。
魚は投げられ、アヒルは首根っこ掴み、ヤギを抱え、ラクダの首を縛り、羊は連れ去られ、うさぎも捕まえられる。
動物たちを蔑ろにする人たちが、マムラカットを傷つけているように見えた。
マムラカットは傷つき苦しみ、死ぬ手前までいってもなお、生きることを選んだ。
アリクや父、兄に支えられながら、生きていく。
と思ったら悪魔が牛を落として父とアリクを殺す。
そしてその犯人こそがクソレイプ野郎であり、悪魔。
殺してくれ!と願いながら観ていたが、クズは気絶したまま昏睡状態に。
そしてクズを捨てようと町を出ようとしなら、町の悪魔たちが止める。
結婚を強要してくる悪魔ども、いや人間。
腸煮えくり返っていたら、まさかのラスト。
こんなラストが待っていたのか。
飛ぶという言葉が物語全体に散りばめられていたのはこういうわけか。
人が勝手に決めた価値観や普通、法律、情報、なんかくそくらえよ。
そんなものは軽く飛んで超えていく。
Happy birthday!
物語全体はコメディタッチで描きながら、時折挟まれる、深い絶望や痛み。
真に迫る。
マムラカット役のチュルパンさんの可愛さが異常。
魅力的すぎた。
そして兄のナスレディンはこれからも常識という悪魔をぶち壊していくのだろう。
私も囚われずに生きていきたい。
天井のシーリングファンで飛ぶ発想は好きすぎる。
走るシーンが多いのも好き。
マムラカットの全力疾走!最高!
走って走って、それでも悪魔は追いついてくるから、だったら飛んでしまおうってわけ!