ShuheiTakahashi

ブルーイマジンのShuheiTakahashiのネタバレレビュー・内容・結末

ブルーイマジン(2024年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

記者会見のシーン良かった。(良かっただけに気になる点もある。)
司会者の女性も良かった。
性犯罪者監督の隣に座る俳優さんは加害された女性たちを目の前にして、何も言わないのだろうかと思っていたところに手を挙げ、声を上げる。

想像力はありますか?

監督として想像力の欠如は一番駄目だろう。
というか人間として終わっている。
想像力の欠如はネットで騒ぐバカたちにも言えるし、現代を生きる多くの人にも当てはまる。
今まで告発されてきた監督や俳優、芸人たちは今のところ好きな人たちではないが、これから先、好きな監督や俳優たちが、もし性加害や性暴力、様々な搾取をしているのだとしたら、自分も加担しているようなものだ。
というか、既に、現状において、「男であること」、その時点で搾取の構造に加担していることを自覚しなければならない。

劇中、加害者が100%悪いのかなあと主人公の友人が発言した。
スキがある人もいたんじゃないかなあと。

なんか第三者の目線だったりを入れたかったのだろうけど、
でも、それで得をする、と思わせるように仕組んだのは男たちだ。

この社会の構造自体がおかしいのだ。

セクハラされた男性も出たりしたけど、うまく使い切れていない気もした。
あまり機能していない。
セクハラされた男性が主人公に近づいてきたのはなんか下心を感じた。
屋上で主人公に対してあなたもセクハラされたんですかって聞くのはあまりにもデリカシーなさすぎるのではないだろうか。
それが狙いなのかもしれないけど、最終的になんか仲良くなってるし、なんだろう。
この男性も男の人はいいよねとか突き放されたこと言われたはずなのに。
主人公の兄もそこまで必要がない気もした。
家族ですら自分の話を聞いてくれない、責められるように感じる描写はあった方がいいつも思う。
新聞記者によるセカンドレイプなども必要なシーンだ。
ただ、別に兄が謝るシーンとかは…、うーん。
あとパパ活をしている女性はなんだ、友達となんか喧嘩して仲直りしてたけど、なんだ?
結局どうしたの?
答え求めるのがおかしいのだろうか。


記者会見のシーンはなぜ記者でもない女性たちが許可なく入り込めたのかが気になってしまう。
監督は性加害をした報道後の記者会見。
記者会見に入れる記者とかいつも以上に確認すると思うのだけれど。
覚えてすらいなかったことを強調したいのかもしれないけど、記者かどうかぐらいは確認するのではないだろうか。
業界的には割とフリーなの?知らないけれど。
そして記者会見の会場が小さすぎるというか安っぽくないだろうか。
あんなもんなのか?
予算が足りなかったのかもしれないけれど…。

あと、ラスト近くの海のシーン。
過去の自分が隣に立つファンタジー。
あまりいらないかなあ。
ここまで現実的に描いてきたのに…。
過去と向き合って過去の自分を救うみたいな、カウンセリングの方法だったりもあるけれど、それはわざわざ描かなくていい気もする。
十分伝わる。
カウンセリングが題材の映画ならまだしも。

エンドロール後、青白い風景から抜け出した後の世界、橋の上。
そもそもブルーイマジンや青のイメージは青鞜社から取っているらしい。
青と想像すること。
その2つがテーマなのはわかるけれど、なんか青の描き方が…稚拙な気がした。
青鞜社から取った青なら青から抜け出しては駄目なのでは?
青色の場所が居場所だったのではないのだろうか。

そして、ラストシーン。
なんか颯爽と歩く女性とすれ違って、主人公が笑みを浮かべて終わり。
え、なんの意味があるのだろう。
すれ違った人は誰?
過去の主人公?それにしては背が大きかったし。
パパ活をしていた友達?
見ず知らずの女性?
どれかだとしても意図が分かりづらかった。
それでも女性は強く歩く?みたいなことなのか。
正直ピンとこない。
性加害されて以来おしゃれをして来なかったけれど、私もおしゃれを楽しもうみたいなことだろうか。

その前の意を決して口紅を塗るシーン。
今まではしてこなかったけど、みたいな。
でも、それまでの主人公の格好もとても似合っていたし、決しておしゃれをしていない風には見えなかったな…。
自分にとって好きではない格好をしていたのだろうか。

渡辺紘文の出るシーンは良いアクセントにはなっていたが、最後の台詞は残念すぎる。
お盛んですねって…。
そういう話ではないだろ。
女性と男性の違いを浮き彫りにする台詞。
ではあるが、渡辺紘文をなんかいい感じのキャラなのかなと思わせといて、それかあーとなった。

ただ、全体的になんとかハッピーエンドにするために色々と無理をしている感じがあった。

カウンセリングも後ろでカタカタパソコン打たれていたら、自分だったらなんか嫌だけどなあ…。
実際にそうなのかもしれないけれどさあ…。

なんか腑に落ちない。
消化不良。
問題提起する作品は消化不良で良いと思うし、その方が好きだ。
現実でもずっと考え続けなければいけないと思うから。
ただ、この作品は割と終わり方をスッキリ目に描いている。
だからこそ、この消化不良感が気持ち悪い。

題材も監督自身の体験を基にしたものらしいし、それを作品にまでしたのは凄い。
ただの苦しい作品にはしたくなかったのだろうとは思うし、それにも成功していた。
ただなんか物足りない。

強姦のシーンは直接的に描かなかったりは良かった。
想像のさせ方はうまいなと思った。
主人公を演じた山口まゆさんや新谷ゆづみの感情の揺れによって想像できるようなつくり。
役者を信頼している脚本だなと感じた。

たくさん文句みたいな疑問を言ってしまったが、それだけ好きな部分と好きではない部分が混在する作品なのだなと感じた。
全体的にはこの作品好きだ!と言いたい作品なんだけれど、細かい部分がどうしても気になってしまう。

初監督でこの作品は凄い。
これからも撮り続けて欲しいし、観続けたい。
ShuheiTakahashi

ShuheiTakahashi