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TALK TO ME/トーク・トゥ・ミーのhasisiのレビュー・感想・評価

3.5
現代のオーストラリア。
17才で高校生のミアは、2年前に母を亡くしているが、今でも引きずっている。
気晴らしがしたくて、友人たちが集まる降霊会に参加。
防腐処理された人間の手首から先が触媒。霊を降ろしたい人が剥製の手と握手すると、目の前に誰かしら現れる手軽な玩具。
「トーク・トゥ・ミー」が、
体に入っていいよ、の合図。
危険なので、90秒以上は憑依させてはいけないルールだ。

監督・脚本は、ダニー・フィリッポウと、マイケル・フィリッポウ。
2022年に公開された超常現象ホラー映画です。

【主な登場人物】🦘🚗
[コール]ダゲットの兄。
[ジェイド]親友。
[ジョス]手の持ち主。
[スー]ジェイドの母。
[ダニエル]ジェイドの彼。
[ヘイリー]運営者。
[マックス]父。
[ミア]主人公。
[ライリー]ジェイドの弟。
[レア]母。故人。

【概要から感想へ】🪑🕯️
フィリッポウ監督は双子。1992年生まれ。オーストラリア出身で、どちらも男性。

今年も3分の1が経過しました。
プロ野球はキャンプの過ごし方で、つぎのシーズンの成績が決まる。
腐るか、人知れず努力するかは自分次第。

監督は、本作が長編デビュー作で、アメリカの配給会社はA24。
450万ドルで製作され、興行収入は9190万ドルに到達。
A24のホラー部門では過去最高の収入に。

彼らが運営するYouTubeチャンネルである「RackaRacka」は、現時点で登録者数684万人なので、成功するのは2回目です。

好きなアニメーションは、
『妄想代理人』『るろうに剣心』『ブギーポップは笑わない』『新世紀エヴァンゲリオン』だとか。
レトロ趣味、欲張り、闇の住人、同性愛、うつ病。
日本人相手に好きなアニメを発表すると、分析が終了する法則。

双子は、それだけでスピリチュアルな印象を受けるから、超常現象と相性がいい。
ヒット作は偶然生まれない。
庶民受けする才能に、話し合う機能が追加されたら歴史を刻むのも必然か。

🫲🏻〈序盤〉🛋️📱
冒頭の掴みの映像だけでも優れた実力の程がうかがえるが。
せっかくどす黒いのにパリピ集団で残念。
ホラーにパリピは定番だが、いまどき型にはめる必要なんてない。

ミアが高校生で17才だと知って愕然。ライリーの母親かと思った。

場面の切り取り。
説明をはぶいて断片的に繋ぎ合わせてある。
若者向けのお洒落仕様。
関係性や状況を想像させるので、脳が退屈しなくていい。
裏を返せば、視聴する側に読解力が求められるので疲れる。
配信より、集中して観られる劇場向き。よりハードコアに向けた作りをしている。

降霊術。
コックリさん、で日本人にも馴染み深い題材。
映像からパリピの薬物パーティを連想させるが。
芸術への造詣含めて、正しい解釈だと思う。

🫲🏻〈中盤〉🤤🦶🏻
予想通り、若い男の子大好き。
羞恥プレイに苛めで、ジャイアンまでいる。地獄。

酷い。
どれだけ大きな谷を作れるか。
ふり幅を大きくしようとしすぎて、思惑である「心の操り」には成功しているとは言い難いが。
胸糞でボディーホラー。
性格悪すぎて吐きそう。

🫲🏻〈終盤〉👻🛌🏻
怪我をしている友だちの傷口をえぐっているだけなのに、勇気があって尊敬できる行動をとっている風に仕上げてある。
能力「底なし沼」だけでも色々できるものだな、と感心させられた。
バトル漫画における必殺技の応用編のようだ。

酷い②
「中盤以上の胸糞は無理なのでは?」を越えてくる。
酷すぎて笑うしかない。
「母と死別した心の傷を癒したい」と「欲望を満たしたい」を混ぜて不誠実。
実体験を踏まえた物語なのに、訴えが心に響かない作風に落胆した。

【映画を振り返って】🧑🏻‍🦽🚗
案の定、冒頭のパリピスタートが嘘のように“家族の闇”へと踏み込んでゆく。
途中で飽きさせない実力は中々のものだが。

あらためて物語では「起と承が大事なんだな」と気づかされた。
欲望をぶつけているだけで、流れも何もあったものじゃない。
教訓。前戯はおろそかにしない。

その分、劇中は余白だらけ。会話してすり合わせをしたくなる幾つかの不可解な事象により、鑑賞後も楽しめる。
お喋り監督らしい提案であり、本作自体が触媒の役割を果たしている。
豪快な脚本と裏腹にしごく知的だし、映画館にパリピ集団を引き寄せるための表現方法としては適切だろう。

✂️自傷行為。
周囲と同じように自分も傷つける。
その個性が落ちで効果的に機能して、胸糞な展開に反して、鑑賞後感はすっきりして笑顔に。
酷い目に会わせるより、酷い目に会う方がまだ罪悪感はうすらぐ。

👩🏾‍🦱演技力依存。
低予算で、特殊効果も必要最低限。
その分、出演者の腕の見せ所に。
一瞬で憑依を表現して、人格が入れ替わる様は鳥肌もの。とくに主演であるソフィー・ワイルドのエスカレートする出力は単に人として怖く、圧倒されるものがあった。

必要なシーンは「想像力を刺激するため」とカット。
俳優陣の素晴らしい演技で完成した雰囲気は「カットしたくなかった」で、余計なシーンを残してぶち壊してくる。
この辺に、監督の破壊衝動と欲張り加減が現れているのだが、……ご愛敬か。

好評を得て、現在は続編を製作中だとか。
『呪怨』のようにシリーズ化して、監督の代名詞になるのかも。
日本文化をこよなく愛する人の台頭は大歓迎。古典的なネタにニヤニヤしつつ、今後の活躍を草葉の陰から見守りたい。
「トーク・トゥ・ミー」
いつ呼び出されてもいいように。
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