ShuheiTakahashi

ソウルメイトのShuheiTakahashiのネタバレレビュー・内容・結末

ソウルメイト(2023年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

好きも嫌いも超えていく。

オープニングから絵の力で惹き込まれる。
そして、そこからもう一緒にいないことがわかる。
だから、過去のシーンは尚更辛く切なく見える。

情報の出し方がうまい。
どういう経緯でミソとハウンは別れることになったのか。
ミソとハウンの彼氏ジヌがキスをして、そこからミソは済州島を離れる。
ミソはソウルで夢を追いながらも挫折し続ける。
ハウンには嘘を手紙に書き続ける。
ミソは済州島に帰り、ハウンとしばしの休暇。
ソウルで遊ぶも、お互いの違いにズレが生まれる。
しばらく時は経ち、ジヌと再会するミソ。
ミソは彼氏に全財産使われたあげく、自殺し、ジヌの家に。
連絡が取れないジヌを心配し、会いに来るハウン。
一番あなたを愛しているのは私なのにと、どうしてこうなったのかと、泣き合う2人。
ミソがどうしてジヌが大事にしていたお守りを持っていたのか。
ハウンと同じようにハウンを大事にしているならなぜ持っているの、と、まあジヌを好きなわけだからではないと思うけどと思いつつ観ていた。
ここでやっと明かされる。
27歳を超えても生きていなくちゃいけないから、ハウンのために。
それは言わないと伝わらないよ。
それを見たハウンがどう思うかくらいはわかるだろうにと。 

また更に時は経ち、ジヌと暮らすハウン。
結婚が間近に迫り、絵を描こうかなとジヌに告げるハウン。
しかしジヌは君は技術はあるけど、才能はない、と言い放つ。
このままでは息が詰まる。
勝手に限界を決められて、ジヌが求めるハウンのままでいなければならない。
結婚式で写真を撮られるハウン。
ポラロイドカメラ?で現像された写真を受け取る。
その顔は幸せそうに見えない。
小さな四角で閉じ込められているようだった。
結婚式を抜け出す。
そしてソウルで一人暮らしを始める。
その家はかつてミソが暮らしていた場所。
ミソの痕跡を感じながら絵を描くハウン。

そしてミソが夢見たロシアへ行く前にミソに会いに行くハウン。
明るい顔の2人。
しばしの幸せ。
ミソがかつて夢見た旅を、ハウンが辿る。

しかしそれはミソが描いた理想。
実際は、ハウンはジヌとの子どもを妊娠した姿で会いに来る。
母子ともに健康に生まれたかに思えたが、ハウンの体は急変し、死んでしまう。

ミソが暮らしていた子どもはハウンの子どもだったのか。
これは2人だけの大切な話。



ミソとハウンの表情の変化が素晴らしい。
高校生から現在まで、同じ2人が演じるけれど、ちゃんと違いがある。
そしてそれは単に若く見えるとかそういうのだけでなく、経験してきたことが顔に現れている気がした。
積み重なりを感じた。
それは2人の演技力が凄まじいからだと思う。
そしてこの顔はハウンが描いてきたものでもある。
ハウンが描く対象には愛が伴っている。
「燃ゆる女の肖像」でも思ったが、絵を描く人とその対象の間には愛が介在する。
そしてその眼差しにも。

愛がないと描けない。
そしてそれは絵に説得力があるから、より深みを増す。

2人で一つというのを様々な形で表していた。
ブロッコリーと人参を交換したり、ピアス、家、子どもの名前、絵、生き方。

正直、ジヌの存在は雑音ではあったが、映画的にはあった方が話に展開があるのも事実。

色々と細かい点は気になるが、単に私の知識不足によるものかもしれない。
戸籍上は他人であるミソがハウンの子どもを引き取れたのかとか。
ミソがハウンの家に住んでいる時に既にハウンの家の養子になっていたとか?

ハウンのふりをしてミソがアートギャラリーに連絡したと思われるが、新作はミソが描き続けるのだろうか。
その収入はミソが受け取るのか、ハウンの家と折半?
そもそもミソは写実的な絵も描けるんか。
ある程度は描けるだろうけど、あそこまで描けるんか。
まあなんでもいいし、そんなことはどうでもよくなるくらい良作。

オリジナルの方も早く観よう。
ShuheiTakahashi

ShuheiTakahashi