Ayumi

アンダーカレントのAyumiのネタバレレビュー・内容・結末

アンダーカレント(2023年製作の映画)
2.5

このレビューはネタバレを含みます


映画のリズムや、銭湯を舞台にした人間関係はとてもよかったのだけれど、ぼんやりとした主人公に感情移入ができないまま見終えた。

「夫婦だったのに、実はお互いのことがよくわかっていなかった」という映画というと、「永い言い訳」を思い出すけれど、ああいう感情を徹底的に突き詰めるような作業はこの映画にはなかった。主人公のかなえは、再開した銭湯にやってきた素性の知れない男性(堀)を雇い、なんとなく仕事を続ける毎日だ。かなえは、夫が失踪した後も特に行動を起こすことはなく、友人に勧められてやっと探偵に夫の手がかりを探し出すことを依頼する。

銭湯の設備を譲ってもらうために向かう車中で堀に絡んだり、自分が幼い頃から見る夢を語った上で「私のことが好きか」と聞いてしまう思わせぶりなかなえに、見ている方は少し閉口する。探偵の調査の結果、かなえは夫と対面するのだが、その相手を舐めくさったような説明にかなえは特に怒ることも問い詰めることもなく、なぜか「ちゃんと食べてね」と気遣う。ここでもう全然共感できないや、とため息をついてしまった。

かなえの幼い頃のショッキングな経験が彼女の性格にどんな影響を与えたのか?夫の失踪を受け、彼女はどんなことを考え、行動に移したのか?それらがどれも薄く見えてしまう。ただ、こういうけなげなヒロイン気質の女性は確かに実在するのでリアルではある。ただ、私はこういうタイプがやはり嫌いなのだと再認識する映画だった。
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