Ayumi

テトリスのAyumiのレビュー・感想・評価

テトリス(2023年製作の映画)
4.0

そもそもテトリスがソ連生まれだということを知らずに鑑賞したのだけれど、これが史実だというおもしろさ!任天堂の登場、ソ連政府を巻き込んだライセンス争い、そしてソ連の終焉という大きなテーマにつながっていく流れをわくわくしながら見る映画だった。

見本市でテトリスを発見したヘンク、同じく利用権を得ようとするスタイン、そしてマックスウェル親子の3組が「プレイヤー」として登場する。ヘンクは任天堂の山内社長(そっくりな役者さんが演じている!)を訪れて協力を取り付け、ゲームボーイへの搭載を目指してソ連へ渡る。強硬な態度で契約しようとするスタイン、ソ連の議員に賄賂を渡すマックスウェルと対照的に、ヘンクは開発者のアレクセイの信頼を得て交渉に臨む。しかし西側へのライセンス売却をおもしろく思わないソ連の体制が何度も邪魔をする。

ソ連の腐敗した体制に適合するマックスウェルたちに対して、ヘンクは「正直さ」で交渉を勝とうとする。このあたりはデフォルメされすぎているというか、あまりにヘンク(とアメリカ)がかっこよく描かれすぎていると思ってしまう。また日本の描写が少し雑(任天堂本社の作りや看板などが日本らしくない)なのが残念だが、そこを脚本のおもしろさとテンポの良さが補っていると思う。個人的にはゴルバチョフが出ていたのが効いていたと思う。腐敗がソ連の崩壊につながっているのだと。

しかしソ連崩壊のニュースに「これはいいニュースか、悪いニュースなのか?」とアレクセイ妻が言うシーンがあるのだが、ロシアが良い国になったかというとそうではないのは明らかなので、複雑な気分になった。
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