Ayumi

ラヴィ・ド・ボエームのAyumiのレビュー・感想・評価

ラヴィ・ド・ボエーム(1992年製作の映画)
4.0

カウリスマキ上映祭にて。家賃滞納で部屋を追い出された作家と、へんてこな曲を弾く作曲家と、売れない画家がなぜか意気投合してボヘミアンな生活を共にする。「マスを二つ」「二人で分けないか」のレストランのシーンに始まり、「部屋はないが家具は俺のものだ」「俺は部屋があるが家具がない」で一緒に暮らしちゃう過程がおもしろい。

てっきり作家マルセルが主人公だと思っていたのだが、どうも画家ルドルフォが主人公のようだ。絵がいい値段で売れ、恋人ミミに「仕事を辞めろ。一緒に暮らそう」と提案する男前なルドルフォ。ところがまた貧しい生活に戻ると、ミミは羽振りの良さそうな男のもとに去ってしまう。ルドルフォは強く引き止めないのだが、悲しそうな目と何か言いたげなヒゲが印象的。

それぞれの恋人が去り、男3人で過ごすクリスマスの日にミミがふらりと戻ってくる。具合の悪そうなミミのために病院に走ったところ、医者には「手遅れだ」と宣言され、医療費が高くつくと言われてしまう。画家は描き上げた絵を売り、作曲家は車を売り、作家は大切に抱えた本を売り、文句ひとつ言わず病室でミミを見守る。そんな男たちが愛おしく、ユーモアと切なさのなんとも言えないバランスがとても良い。
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