Niylah

aftersun/アフターサンのNiylahのレビュー・感想・評価

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)
4.5
2回鑑賞した。初見は睡魔に襲われつつred-eyeで観たせいかあまり気持ちを動かされる部分がなく、ふーん…という感じだったのが、なぜかずっと気になって考察を読んでから後日再鑑賞してみたら、初見で私が感じた映画とは全然違った作品でとても切なくて苦しくて復路の機内でこっそり泣いた。なんて暗く寂しい映画なのだろう。

私はどちらかというとこの父カラムのような気質の人間で、彼の発言や行動だったりが私にとってはあまりにも自然/普通だったので、この映画に漂う“不穏な空気”や“ただならぬ暗さ”というものに初見では全く気づけなかった。考察や他の人のレビューを読んでから再鑑賞して、あぁそうだったのかと。そういう別視点で改めて観てみると、心臓をギューと掴まれたような息苦しさを感じて、この映画について書かれた文章や映像を見るだけで切ない感情が込み上げてくる。あぁやっぱり私は11歳の無邪気な女の子ソフィでも31歳になった大人のソフィでもどちらでもなくて、31歳の父カラムに感情移入というか自己投影してこの映画を観てたんだな。人一倍繊細、なのに場の空気を読まない言動。もて余す生きづらさ。ひとりベランダでタバコを吸いながら考え事をする姿。夜の漆黒の海に入る姿。記憶なのか想像なのか。

私の11歳の誕生日。夏休み中に誕生日を迎える私は毎年両親不在の中で祖父母やいとこたちや親戚みんなに祝ってもらってた。みんなに見守られてロウソクを吹き消す上気した顔。夏休みの南国の島。日焼けして火照った体。あの頃だって大人になった今だって夏にはいつもAfter sunが必要なのに。

ソフィが年上の女の子からオールインクルーシブの印の紙切れの腕輪を貰うシーンがなぜか好きで印象に残ってる。ファンタレモン。

「Can't see myself at 40 to be honest.
Surprised I made it to 30…」
Niylah

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