伊藤万理華さんの演技が見たくて見に行ったのでなおさら思うのですが、予告で色々と見せ過ぎなのでは？
作品の感想はというと、映画の主題である「アロマンティック」に関してはその生きづらさ、つまづきの多さというものが三浦透子さんの極めてナチュラルな演技によって「それほど大きな起伏もなく」描かれていたのが功を奏しとてもリアルに伝わってくる。
けれども登場する男の描かれ方がどうにも甘ったれているというか「結局ダメ」な所を着地点にしがちだったのが惜しかった。
佳純のアロマンティックというアイデンティティを浮き上がらせる要素として複数の人間関係が描かれるが、「処世をわきまえた」妹がもっとも佳純の感情を揺さぶる存在として描かれており、姉妹の言葉にしなくても分かり合えてる／分かり合えてなさを伊藤万理華さんと三浦透子さんは上手く演じていた。
何も分かっちゃあいないのに、特定の性的嗜好を表す言葉で姉を詰める事ができるのは妹ぐらいしかいないわけで、このシーンの伊藤万理華さんの残酷性はみぞおちの辺りがキリキリとした。
これ以上題材に踏み込んでしまうと途端に中途半端な作品になった気もするので、なんだかんだいって絶妙なバランスで着地できた作品なのではないでしょうか。
しかし伊藤万理華さんが登場する時のあの緊張感、一体なんなんでしょう。マタニティルックがめっちゃ似合って抜群に可愛いんですがね。
