めちゃくちゃ素晴らしい作品。
なぜ、2022年にもっと騒がれていなかったのか分からないくらい良い。
日本での配給を担当したKlockworxが大々的に宣伝していたのも頷ける。
舞台は未来の地球。
荒廃して、植物は朽ちるか、危険な環境に適応して危険な植物へと変異している。
主人公は少女ヴェスパー。
父親は寝たきりだけど、ドローンに意識をつなげて、ヴェスパーの側で見守る。
ヴェスパーの夢はシタデルで暮らすこと。
その資格を手に入れるために、食べることができる植物を栽培するための研究を1人で黙々と続ける日々。
そんなある日、墜落事故で怪我をした女の人を見つけ看病する。助けたことをきっかけに、ヴェスパーは新たな試練へと立ち向かうことに…。
という感じのあらすじ。
荒廃した世界に少女と言えば「風の谷のナウシカ」を思い浮かべるけど、制作側も影響を受けていることを明言しているらしい。
とはいえ、本当にナウシカにそっくりw
だけど、ただの実写化じゃなくて、ちゃんとオリジナルで独自の世界観がある。未来というだけあって、意味わからない単語がいくつか出てくるけど、ちゃんと全部説明がされているだけじゃなくて、ストーリーに繋がっていて、とても丁寧。
SFとしても素晴らしい作品。
映し出されるのは、美しい世界観。
まさに未来的な、変異した植物たち。美しいけど、危険も併せ持つ美しさ。後半の赤い草は、とても面白かった。シタデルやヴェスパーの父親のドローン、家の燃料タンクなど、機械だけど生物的な仕組みになっているところも魅力的。
そして、ヴェスパーを演じるラフィエラ・チャップマン。まだ新人だけど、素晴らしい演技だった。おそらくCG相手であっただろう撮影でもここまでリアルに演じられるのは凄いと思う。
そして、見事に嫌なヤツを演じたエディ・マーサン。嫌なヤツだけど、とても人間らしいキャラでこの状況であれば理解できる言動。
優しさや情を感じるときもあれば、冷酷で人でなしで、震えるほど恐ろしさを感じるときもある。
エディ・マーサンがいるかいないかでも今作の印象が全く変わっていたと思う。
なかなか世界的にも日本でも注目度は低かったけど、SFとしてもドラマとしてもとても良かったからぜひ多くの人に観て欲しい。
この美しい映像だけでも観る価値があると思う。
「いつの日か 誰もが生きられる世界を」