あんず

カラオケ行こ!のあんずのレビュー・感想・評価

カラオケ行こ!(2024年製作の映画)
4.3
カラオケが好きなのでこれは観ておかないと、と謎の義務感に駆られて劇場へ。カラオケ以外にも合唱、映画と私の好きなものばかり出て来て、予想以上に楽しめた。ストーリーもうまく出来ていて、エンドロールで脚本が野木亜紀子と知り納得。原作もきっと面白いんだろうな。年の差の友情は『メタモルフォーゼの縁側』のような爽やかな感動を与えてくれた。

綾野剛演じる狂児の歌は、面白いけれど全然下手ではないと思った。裏声が強いけれど、音程はほぼ合っていたと思う。なので、結構レベルの高いカラオケ大会なんだな~と思って観ていた。


⚠️ネタバレではないと思うけれど、極力情報がない方が楽しめると思うので、これから観る予定の方は後で読んで下さい。

合唱部のテキストを渡した時に、あれ?と思ったら、後からやはり「合唱の歌い方を覚えてもカラオケは上手くならない、忘れて」みたいなことを言っていた。私も未だに中学の時の合唱部発声が抜け切らなくて、カラオケがなかなか上手くならない。高音を響かせる(裏声メイン)時などは役立つのだけど。

『紅』の英語部分の日本語訳(関西弁)が気持ちが込もっていて、良いな~と思った。

合唱部の和田くんが狂児以上に面倒臭いキャラで、だけどこういう男子がクラスにいたような気がするなと懐かしくなった。最後、和田くんはソロをうまく歌えたかな。そこも観たかった。

主人公の聡実が変声期という設定が、観客の「聡実くんのカラオケを聴きたいのに~」というもどかしい気持ちを抑える。その抑え付けられていた気持ちが最後の聡実くんの熱唱で一気に解消され、彼の歌声と成長に感動する。きれいで上手い歌(合唱コンクールで優勝するような)だけに人は感動するのではなく、例え音をはずしたり、声がかすれても、魂の込もった歌は理屈ではなく人の心を動かす。やっぱり歌っていいな。カラオケっていいな。日本が世界に誇るカラオケ文化なので、きっとこの映画も世界のカラオケ愛好者に気に入ってもらえるはず。
あんず

あんず