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逆転のトライアングルのmorinaliのレビュー・感想・評価

逆転のトライアングル(2022年製作の映画)
3.5
「フレンチアルプスで起きたこと」の絶妙なシニカル加減(えっ、これ笑ってもいいの?とか、背筋が凍る一撃とか)を愛してやまない私としては、今作はルッキズムにがんじからめの階級社会の下品さを、あえて分かりやすく露呈させているというのは百も承知の上ですが、振り切りすぎてエンタメとして消化されすぎというか、品がないものを、品がないまま伝えることに面白みを感じないというか。人間の業って、そんな分かりやすく笑い飛ばしてしまえるものなの?って、感じてしまった次第。社会の事象に対して冷笑的な態度は取りたくないなって思ったりもしている今日この頃。(個人的嗜好の問題。だとも思います。)*「スクエア思いやりの聖域」も大好きな作品です。

とは言え、乗船前までは私が好きなリューベン・オストルンド監督が凝縮されていて、かなり楽しみました。
オーディションシーンからショーまでの序盤に、怒涛のテンポで手際よくテーマを伝える様は秀逸!
原題でもある”悲しみの三角形”って何?って思ってた矢先、台詞として出てきて失笑。(美容業界用語で「眉間のしわ」)

そして、パンフレット!
テイクフリーの広報誌みたいで、かつ写真のセレクトやレイアウトがファッション誌みたいで面白い。
これも石井勇一さんっぽいなと思ったら、石井勇一さんお仕事でした。
敬服。
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