ささきたかひろ

NOPE/ノープのささきたかひろのレビュー・感想・評価

NOPE/ノープ(2022年製作の映画)
3.5
鑑賞後に考察サイトやSNSを巡って腱鞘炎になってしまうような映画は本来制作側がそうならずに済むように心を砕いて臨むべきことを意図的に怠けていると私は思う。観客に貴重な時間を浪費させてはいけない。

ジョーダン・ピールは「ゲット・アウト」こそその外連味や斜め上の結末が功を奏してはいるものの、次作「Us」では早くも外連味に偏った演出家であることが露呈され正直本作は期待できなかった。

しかしこの開き直りっぷりはどうだろう。
それに意外とメタファーも親切だったりするし(モロだったりする)映像も素晴らしい。こりゃ手前の時間使っても考察サイト巡ったるぞ!と思わず前のめりになる素晴らしい映像と仕掛けの出来栄え。(とはいえ主に映像のネタ元に偏った解説が多いのがなんとも…)

ところで彼奴から垂れ下がる万国旗に妙な既視感を禁じえず、このレビューを書きながらも思い出そうと記憶を辿ったら…あれは恐らくバック・トゥ・ザ・フューチャーですね。やりたかったんだねジョーダン…。

「ゲット・アウト」で荒唐無稽な脳の移植手術(楳図かずおの傑作「洗礼」を引用してはいないだろうか?)を妙な説得力で押し切り、なんだか妙な清涼感まで召喚したジョーダン・ピールが只者でないことはよくわかるのだが、複数のレビュアーが指摘されているようにジョーダン・ピールそろそろシャマラっちまうんじゃなかろうかと一抹の不安もよぎる怪作でした。(個人的には「Us」でシャマラ済みだと思う)

私は闇夜にサングラスをかける。
決して相手の目を見てはいけないから。
ささきたかひろ

ささきたかひろ