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ザ・ホエールのmorinaliのレビュー・感想・評価

ザ・ホエール(2022年製作の映画)
3.5
戯曲ベースのワンシチュエーションもので、272kgの巨体が4:3 のアスペクト比の狭い画角のスクリーンに映し出される閉鎖感や圧迫感が、アパートの一室で過ごす中年ひきこもり男性の孤独や喪失感を象徴しているようで苦しくなるも、ソファや扉、キッチンカウンターの配置や知性がうががえる本棚など考え抜かれた美術やカメラワークが息苦しさを緩和し、2時間弱の映画尺を保つひとつの要因となっているようにも感じた。

ラストには嗚咽させられたし、ブレンダン・フレイザーには賛辞しかないけど、鑑賞後冷静になると言いたい事は多々あるなと。

(「白鯨」に思い入れがない私のピンとこなさは棚に上げます。すみません、、、)
まず、272kgの巨体に対して、バケモノ的描写や台詞が多々使用されており、重度の肥満症は病気だと思いますが、病気に対する表現が暴力的すぎて好きではなかった。

つまるところ、死期が近い中年男性の救い、贖罪でしかないなと。娘や元妻、友人女性からのフェミニズム視点で観ると勝手だなのひと言に尽きてしまった。。。あれです、自分が救われたいだけや〜んってやつ。これぞ業なのかもしれないが。

しかしながら、冷静さを欠いてしまたあたほどのブレンダン・フレイザーの怪演、破壊力よ!
リズ(ホン・チャウ)とソファでじゃれてる時の何気ない笑い声には閃光が走った!
あと、リズが甲斐甲斐しくチャーリーの介護しながらも、ジャンクフードを買い与えてることに彼女の闇を感じて、込み上げるものがあった。
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